そもそも、その有名投資家が本当に不動産投資の成功者かということを判定するためには、「その人は何で収益を得ているのか」を知る必要があります。
本当にキャッシュフローで生活しているのか。それとも、コンサルティング料や講演料で生活しているのか。それとも、不動産業者や建築業者からの紹介料で生活しているのか。
セミナーや勉強会を行っていても、そこにスポンサーがいるのか、それとも自分自身で開催しているのか――。
不動産業者のセミナーでは「騙されないぞ」と警戒する投資家の皆さんなのに、有名投資家のセミナーでは、「自分たちと同じ仲間だ!」と無条件に信じ込んでしまう。私は本当に危険に感じます。
常に物件を売買して資産を組み替える
不動産投資に「リタイア」はない
3つ目は「サラリーマンを辞めてリタイアしました!」という言葉です。
これを分かりやすく言い換えると、「不動産投資でサラリーマン年収を上回るキャッシュフローが安定的に得られそうなので、会社を辞めて悠々自適に暮らす」ということです。
不動産投資は数ある投資の一つであって、物件を所有し続けて得られるお金を年金代わりにするような性質のものではありません。
例えば退去者が出れば、すぐに修繕を依頼して、入居者の募集をしなければいけません。建物全体のメンテナンスも定期的に必要となります。このように物件を持っている限り、常に何かしらの労働力と資金を投下しなければ家賃収入は得られないのです。
将来的に安定した収益を得ることを目的とするのではなくて、資産の組み替えを前提とした運用――それが不動産投資なのです。
SNSで憧れの生活を披露したり、楽しく過ごしているように見えても、それは有名投資家のブランディングの一環という可能性もあります。
先ほどの不労所得にも通じますが、賃貸業は決して安定的な収入ではなく、物件の出口が決まっていない限りは利益が確定していません。
実際にリタイアしてうまくいっている有名投資家の多くは、今でも物件の売買を繰り返しながら、資産の組み替えを絶えず行っています。つまり、経営者として常にしっかり働いているということです。