また、さらなる事業規模の拡大を狙って物件を買い増すときは、最初から仕組みをつくっていく作業が必要です。
仕組みを整えた後は自動操縦で運営するという意味では不労所得ともいえますが、「最初からお金を生み出す自動販売機が買える」ということはないのです。
日本では、家賃収入を「不労所得」といいますが、アメリカでは「受動所得」または「ポートフォリオ所得」という言い方をします。
長期的に賃貸事業としてやっていくことを考えると、不労ではなく受動所得のほうがしっくりくるのではないでしょうか。
また、融資の特性上、個人の属性で融資をしていることもあり、サラリーマンを辞めたことによって、購入が厳しくなることもあります。
すでに購入した物件だけで安定的に家賃収入を得るという考えもありますが、それは間違いです。持ち続けている以上は建物が老朽化していきますので、小規模の修繕から大規模修繕なども考慮しなくてはいけません。出口で初めて利益が確定します。不動産投資は出口を考えながら資産を組み替える手法が正しいやり方です。
不動産投資の特徴は、レバレッジが効き少ない資金で投資ができることで、将来にわたり購入当時の収入が安定的に入ってくる投資ではありません。
安定的に収入が入ってくる投資としては投資信託などを選択されるのもよいかもしれません。不動産投資とは違いレバレッジが効かないため、ある程度の資金が必要であるためCCR(自己資本利益率)が低くなりますが、換金性は高いため組み替えも容易であるのが特徴です。
2つ目は「私のやり方を真似すれば成功します」という言葉です。
初心者がよく誤解してしまうのは、次のようなケースです。
「物件を何棟も所有している」「本をたくさん出している」「投資歴が長い」。その結果、「すごい・偉い・成功している」そんな風に思ってしまいがちです。
サラリーマン投資家という言葉がまだ世の中に浸透していない十数年前から投資をスタートしていただけで、実際はそんなに儲かっていないのでは?と思われる人も実際にいます。
究極的にいえば、物件を売却しない限り、利益を確定することはできないのです。購入・運用・売却――これらを繰り返して資産の組み替えをしながら、結果的にどれだけ儲かったかということが大事なのです。
また、不動産投資における成功の着地点は、人それぞれです。まったく同じ条件の物件が存在しないのと同様に、不動産投資のやり方は多種多様です。有名投資家の手法をそっくりそのまま真似することは不可能ですし、仮に真似することができたとしても、それが自分にとって最良のやり方だとは限りません。