中国で2016年から
「日本映画の上映」が急増!

 そんな中国で日本映画は、14年頃まで数年に1本か、多くて年1、2本くらいしか上映されていなかった。

 ところが、16年から急増し始める。

 2015年2本、16年11本、17年9本、18年15本、19年24本、20年11本(文化庁「日本コンテンツの海外展開に関する調査報告書―中国編―」より)。

 それぞれの年を見て、ピンと来ないだろうか。日本映画の上映本数が増えた2016年にはある国際問題が起きていたのだ。いわゆる「禁韓令」がそれだ。

 これは中国が高高度防衛ミサイル(THAAD)配備への反発で16年7月から始めた韓国に対する報復処置のことで、禁韓令や限韓令などとも呼ばれている。これによって、韓国映画やドラマ、K-POPなどの韓国コンテンツが中国から完全に締め出された。日本映画の上映が増えた要因と無関係とは言い切れないだろう。

 事実、韓国映画は15年頃までは、日本映画よりも多く上映されていた。

 実は、中国による韓国への報復処置は、朴槿恵(パク・クネ)政権から親中の文在寅(ムン・ジェイン)政権になった後も継続し、現在の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権下でも継続されていることは、日本ではあまり知られていない。

 さらに、韓国だけではない。遅くとも18年以降、米国、主にハリウッド映画は、上映本数を減らされている。この理由は、激化する米中貿易摩擦による関係悪化によると思われる。