日本映画が続々公開!
“韓国映画”冷遇の影響も

 韓国コンテンツが抜けた後の隙間を縫うように、続々と日本映画が公開された。

16年12月中国でも大ヒットした「君の名は。」。なぜか日本での2001年の公開から18年もたった19年6月に公開された「千と千尋の神隠し」。そして、前述の「THE FIRST SLAM DUNK」も23年4月に上映された。

 いずれも話題になったり大ヒットしたりしているが、作品自体が優れているからという理由も当然あるだろう。

 その上で、韓国映画の枠が空いたこと。米中対立で米国映画を上映したくない中国政府の都合で空いた上映枠へ滑り込ませたという中国政府による国民へのガス抜き、内政的な都合のほうが可能性としては高いといえそうだ。

 中国では、映画など娯楽も内政の重要な道具だからだ。決して「良い映画だから国民のために上映許可を与えよう」なんて主権在民的な考えはない。

 話は脱線するようだが、世界最大の映画製作国であるインド映画は、中国ではどうなっているのか。

 2015年頃までの日本と同じくらいの数年に1本くらいしか上映されていない。これも映画自体の評価ではなく、中国が1949年の建国後に度重なる領土的野心で、インドと領土紛争で衝突して、関係が悪いからに尽きるだろう。

 ちなみに、中国での映画スラムダンクは、日本が原発処理水の放水を始める8月下旬頃に上映が終了している。

 中国本土映画興行週間ランキングでは、5月8日~14日の週を最後にトップ10圏外になっている(4月20日上映開始)。この結果を見る限りは、実は一部メディアが報じたような大ヒットには疑問が残る。日本映画自体でも6月12日~18日の週でラピュタが8位になったのを最後に、1作品もランクインしていない。

 中国においては映画産業も中国政府の強力な制御下という特殊な状況下にある。自国映画のため強引に市場を開放させてきた開拓者である米国は、中国市場をターゲットにすることのリスクの高さを再認識しているのだろうか。

(筑前サンミゲル/5時から作家塾®)