と考えていたところ、興味深い論文を発見した。東京都足立区の小学1年生を対象に行った調査によると、「週1回1時間以上留守番をする子どもは問題行動が増える」という結果が出たというのである。

【参考】国際健康推進医学分野 

「『日本における留守番と子どものメンタルヘルスとの関連:足立区子どもの健康・生活実態調査から』に関する論文がアクセプトされました」
https://tmduglobalhealthpromotion.com/research/515/

「子どもを家に一人にすることと子どもの精神的健康との関係:日本におけるA-CHILD調査の結果」
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyt.2018.00192/full

 これは日本人としては「本当に?」と思えるような内容であり、現に筆者も書きながらそう思っているが、論文を読んでみると、どうやらそういうことらしい。

 ただこの論文も、

・同分野の研究(留守番が児童に及ぼす効果を調べたもの)が他にないこと。
・今回の調査と研究が横断的および縦断的でないこと。
・生活環境の異なる別の地域(たとえば地方など)ではまったく異なる結果が出るかもしれない可能性

 など、今回の結果が全てではなく、今後さらに研究していく必要があることは自ら指摘している。

子どもの留守番は一つの文化
すぐ変えろというのは無理な話

 筆者は自分の体験を通して、先に書いたような「留守番が自立心を育むことにポジティブな影響を与える」ケースがあることをまだ信じているし、「留守番を通して育った子どもは問題行動が増える」ということも実感できておらず、率先して「そんなわけない」と言いたいくらいだが、子どもにとってより良い選択肢があるのなら検討する価値はあるとも考えている。

 ただ、子どもの留守番は、国内ではひとつの文化というくらい生活の一形態として続けられてきたから、それが良いか悪いかは別にして、すぐ変えろというのは無理な話である。

 研究が進み、国内の理解や感情、価値観がそれによって徐々に変化していくのであれば、もしかしたら「日本でも子どもに留守番させるのはやめておこう」と多くの人が考えるような未来が来るかもしれない(本当にもしかしたらの話である)。

 埼玉県県議団がかような改正案を出すべきは、その未来になってから、が適切である。