教団の信者が「政治家の秘書」に…
政治と宗教「ズブズブ」の実態
過去の関係を振り返ってみよう。政治家が教団関連のイベントに祝電を送る。あるいは出席してあいさつする。逆に、政治家が団体関係者に政治資金パーティーの券を購入してもらう。こうした「議員と支持者」のような付き合いは、これまで当然のように行われてきた。
教団の信者が、国会議員の公設秘書や私設秘書として雇用されるケースもあった。信者が選挙の応援をボランティアで行うこともあった。選挙スタッフがやりたがらないような雑用も熱心にやるので重宝されてきたのだ。
その関係は中央だけでなく、地方の政界にも広がっていた。都道府県議会や市議会議員、地方の政党、後援会、支持団体なども教団と深く関わってきた。地方自治体が後援する各種イベントの裏側で、教団と政治家が結び付いている例も見られた。
例えば「世界平和と日韓友好」を掲げて、若者らが自転車で走行する「ピースロード」というイベント。教団の関連団体が共催している企画だが、その実行委員会には地元選出の国会議員や地方議員が参加していた。
また、教団は「平和ボランティア隊」を組織し、日本全国で自然災害からの復興支援を実施。2011年の東日本大震災から始まり、さまざまな大規模災害の現場にボランティア隊を派遣してきた。
ボランティア隊は教団であることを隠さず、災害現場での勤勉な働きぶりで高く評価された。19年に台風15号が上陸して記録的な暴風を巻き起こしたときは、大規模停電などの被害が出た千葉県を支援。南房総市の社会福祉協議会(社協)が「世界平和統一家庭連合 平和ボランティア隊 UPeace」宛てに感謝状を贈った。
この「社協」とは全国に約1800ある団体で、地域社会における民間福祉事業やボランティア活動の推進支援を行っている。教団は、この社協への寄付も行ってきた。一般的に、社協の運営資金は地方自治体の予算からの補助金だ。しかし、財政赤字に悩む自治体もあり、社協への補助金は十分ではない。そのため、教団からの寄付は主要な財源となってきたのだ。
要するに、教団は国政だけでなく、地方の行政・福祉などにも深く関わってきた。議員や自治体は、教団から票や寄付金、ボランティアを得る。そして教団は社会的信用を得る。安倍元首相の暗殺事件が起こるまでは、そうした「ギブ・アンド・テイク」の関係が出来上がっていたのだ。