秋田県で野生のツキノワグマ3頭が駆除されたことに対して、「なぜ殺したのか」といった苦情が自治体に殺到しているという。人間が生きていく上で動物の命を奪うことの是非をどう考えたらいいのか。鳥獣保護法や動物愛護法に精通する弁護士に見解を求めたところ、「人気マンガ『美味しんぼ』の内容が示唆に富んでいる」という意外な答えが返ってきた。(イトモス研究所所長 小倉健一)
人間が生きていくために
動物の命を奪うことをどう考える?
秋田県美郷町で野生のツキノワグマ3頭が作業小屋に立てこもり、地元の猟友会によって駆除された。作業小屋の付近には認定こども園がある。
この駆除について、「なぜクマを殺したのか」という苦情の電話が県外から殺到しているという。秋田県の自然保護課にもすでに数百件、美郷町にも500件以上の電話があり、朝8時半の開庁から電話が鳴りやまない時間が続いた。
「『30分くらいの長い電話は当たり前といった状況です。職員が電話対応に追われ、通常業務に支障が出ています。私たちから電話を切ることはできません』(県自然保護課の担当者)」(AERAdot、10月6日)という証言を考えると、クマの命を奪ったことについて心を痛めている人が多いということだろう。クマが生息しない東京や九州地域からの苦情が多かったようだ。
動物を殺すことについては、近年、反対する運動が起きており、命を奪ってはならないという信念から動物を食べないためにベジタリアンになる人もいるようだ。こうした問題をどう捉えるべきなのか。