「転勤を受け入れた人と拒んだ人。20代で決定的な差が開く」
そう語るのは、これまで3500社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「誰も言ってくれないことが書いてある」と話題の著書『とにかく仕組み化』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに、仕組み化のメリットを説いた。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、会社員人生でどんどん成長していくための方法を解説する。(構成/種岡 健)

「みるみる成長するか、伸び悩むか」20代で決定的な差が開く違いとは?Photo: Adobe Stock

「転勤」を受け入れた新入社員の姿

 最初に1つ、私の会社でのエピソードをお伝えしたいと思います。

 新卒採用で入社した新入社員を福島県の子会社に配属したことがあります。
 そこで、広告営業を任せました。
 本人たちは、東京での配属を望んでいました。
 ただ、当時、どうしても福島での人手が足りず、その辞令を出すことにしました。

 すると、彼らは、どうしたでしょうか。
 その辞令をすんなりと受け入れて、福島へと行ってくれました
 そして、ちゃんと結果を出したのです。
 3ヵ月後、その結果によって福島での体制は整ったため、東京での勤務を命じました。
 その頃には、「まだ福島で働きたかった」と口にするほどに、大きく成長したのです。

 もしかすると「地方への転勤」と聞いて、それだけで「ブラック企業だ」と言い出す人がいるかもしれません。
 いまの日本は、そんな世の中です。
 ただ、「配属先がどこになるかは会社が決める」と、就業規則に書いてあります。

 これを理不尽と捉える人は、成長しないままダラダラと適当にやり過ごすことになります
 もしくは、不満を口にして会社を去るのでしょう。

 一方で、自分の機能を果たそうとする人は、チャンスだと捉えて、何かを学び取ろうとします。
 特に20代のような若手の時期は、そのような素直さが重要です
 その結果、早く成長することができ、次のステップへと移れるのです。

「花形部署」だけが会社のすべてではない

 多くの会社では、「花形部署」と呼ばれる部署があります。
 テレビ局に入れば、番組制作をしたいでしょうし、メーカーに入れば、商品企画をしたいと思います。
 それは仕方のないことです。

 ただし、会社はその部署だけでは成り立ちません
 長いキャリアをつくるうえで、いつか花形部署に行けるチャンスは巡ってきます。
 それは、任された責任を負える人だからです。
 部署異動に文句を言って、最初の配属先で頑張らない人には、そのチャンスも巡ってきません。

 先ほどの地方転勤を受け入れたのは、会社が明文化しているからです。
 どこまでを会社が決めて、どこからが自分で決められるのか。その線引きをちゃんと示しています。
 そして、それを受け入れた人から順に、成長します

 さらに、そのチャンスをつかみとった人が、今度は人の上に立ち、仕組みをつくる側に回ります。
 ぜひ、先ほどの新入社員の例を知っていただき、あなた自身が組織に貢献できる人になるか、人の上に立ち、そういう人を生み出してほしいと思います。

(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)