パチンコ、麻雀、女、酒、タバコを欠かさず、ほぼニート状態の父親。それに母親が共依存するという複雑な家庭環境に育った。14歳のとき、父親が自己破産して失踪。貧しい生活を支えた母親は病に倒れ、半身不随に。苦境のなか、独学で大学に合格、奨学金を得た。そして、兄・成田悠輔がくれた本をきっかけに「起業」を志した。話題の書『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)の著者・成田修造は、体当たりで起業家の道を歩むようになる。本書は起業を通じた人生の指南書で、何歳からでも組織に頼らず、副業・独立・起業でビジネスを展開するときに必須の内容。これからは会社員であっても、自分で事業をつくれると強い。その思考法とノウハウを全公開する。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
読み通すのも難しい36冊
そんなことから僕は兄のことを「自分の知らない世界を知っている人」と認識していたので、あるとき、なんとなく「どんな本を読めばいいかな」と相談してみたのです。
そこで兄は難解な本ばかり36冊を教えてくれました。
そこまで読書をしてこなかった僕にとっては、読み通すのも難しいレベルでした。
36冊を読破して
“思考の幅”が広がった
実際、読みながら何回も寝落ちしてしまいました。でも僕は、「ここに人生のヒントがある」と信じて、本のリストを自宅の冷蔵庫に張り、図書館で借りて読み続けました。
そして、最終的には36冊すべてを読破したのです。
もちろん、当時の僕が36冊の内容をすべて理解できたはずはありません。でも、この36冊を通じて、"思考の幅"が広がったことは間違いありません。
優れた本を読む“御利益”
優れた本を読むと、世の中にはいろいろな価値観があり、多種多様な考え方をする人がいることがわかります。
学校で教わっていることは社会のほんの一部であり、実社会には理解することがあまりにも難しい広大な課題や考えが広がっていることを知ることができました。
そのことが、学校教育の枠内に押し込められていた当時の僕にとって、驚きであるとともに、希望に感じられたのです。
人生を考えるきっかけ
たとえば、浅田彰著『「歴史の終わり」を超えて』(中公文庫)を読めば、東西冷戦の終焉から民主主義と社会主義という分断の本質が少しずつ浮かび上がります。その視点から21世紀の中国の台頭やロシアによるウクライナ侵攻などを眺めれば、より社会の解像度は上がります。
サイモン・シン著『フェルマーの最終定理』(新潮社)を読めば、数学の難問に真正面からぶつかる世界の天才数学者たちの苦悩が垣間見え、自分の人生を考えるきっかけにもなります。
また、大西巨人著『精神の氷点』(みすず書房)や坂口安吾著『堕落論』(新潮文庫)を読めば、戦後の日本がいかに強烈な精神的失墜から立ち上がってきたのかを感じとることができます。
これらの積み重ねで社会を知ることができ、思考の幅が広がったのです。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。