誰もが一度は英単語をたくさん暗記した経験があるだろう。しかし「たくさん覚えても、全く話せるようにならなかった」と答える人が大多数だ。そんな多くの英語学習者から絶賛の声を集める本が『話す力が身につく5分間英単語』だ。1トピック5分の英単語トレーニングで、実践的なスピーキング力やリスニング力を向上させることができる。著者は、英字新聞編集長を10年以上務める高橋敏之氏。一般的な英単語集には記載されていない「ニュアンス」や「実際の使われ方」を丁寧に解説した。本稿では本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
「ほとんど、ほぼ~」を意味する4つの副詞――それぞれの単語のニュアンスの違い
「ほとんど、ほぼ~」という意味を表す4つの副詞を押さえよう。断定を避ける時にも有用な言葉です。
(1)almost
「ある状態にぎりぎり達していない」というニュアンスの語。
修飾する語の前に置いて「ほとんど、ほぼ~」という意味を表す。
(2)nearly
almostとほぼ同じく「ある状態に達していない」という意味を表す。
イギリス英語でより好まれる語で、一般にalmostの方が「ある状態」に近い。
(3)practically /(4)virtually
どちらも「事実上」という意味の副詞で、almostと同じく「ほとんど~」という意味でも用いる。
(1)almostの例文
It’s almost impossible to buy a house in Hawaii.
ハワイに家を買うなんて、ほとんど不可能だ
Ted is almost always late.
テッドは、必ずと言っていいほど遅刻してくる
He almost fell off the platform.
彼はもう少しでホームから転落するところだった
◆ almost/nearlyは動詞を修飾すると「もう少しで~するところ」という意味を表す
It’s almost 2:00.
もうすぐ2時だ
◆ 一般にalmostを使う方がnearlyよりも2時に近い。目安として、It’s almost 2:00. が1:58くらいであるのに対し、It’s nearly 2:00. は1:45くらいだと考えておこう
“Have you finished?” “Almost.”
「終わったか?」「ほとんど(終わっている)」
Almost anybody could do it.
ほとんど誰でもそんなことはできる
◆ 〈ミス防止〉anyone、anybody、anythingなどを修飾して「ほとんど誰でも[何でも]」という意味を表す場合、nearlyはあまり使わない
Mr. Gupta is almost never in his office.
グプタ氏がオフィスにいることはほとんどない
◆ 〈ミス防止〉no、never、nothing、nobodyなどの否定語を修飾する際にnearlyは使わない
Luckily, there was almost no traffic.
ラッキーなことに、交通量はほとんどなかった
I grew up with a dog named Bella. She is almost like a sister to me.
私はベラという犬と共に育った。彼女はほとんど妹のようなものだ
◆ 〈ミス防止〉この例のように「(厳密には違うが)何かに近い」という文脈では、nearlyは使わない
(2)nearlyの例文
I’m nearly finished.
ほとんど終わっています
It’s nearly certain that he will be re-elected.
彼が再選されるのは、ほとんど間違いない
There were nearly 100 students in the classroom.
100人近い学生が教室にいた
Kelly very nearly missed her flight.
ケリーはもう少しで飛行機に乗り遅れるところだった
◆ nearlyはveryやprettyなどで強調することがある
(3)practicallyの例文
Rats eat practically anything.
ネズミはほとんど何でも食べる
(4)virtuallyの例文
The hall was virtually empty.
ホールにはほとんど人がいなかった
(本稿は『5分間英単語』から抜粋・編集したものです。)