金融庁が沈黙し、警察が動けない中、後払い現金化業者がネット上で堂々と営業を続ける日々が続いたが、2021年9月に北海道警は抜かりない捜査の末、後払い現金化商法でヤミ金を営んだとして、情報商材販売会社「OSGS」(札幌)の代表らを逮捕した。
報道によると、同社はネット上で「ゲーム攻略法」などの情報商材を後払いで販売し、そして購入者に最大5万円をキャッシュバックするという名目で顧客に送金し、後日、情報商材の購入代金として最大8万円を回収していた。さらに2022年9月には、警視庁生活経済課と広島県警の合同捜査本部は規模が一段と大きい別の現金買い取り業者を逮捕した。
ただし、摘発されたスキーム自体を見ると、この商法が貸金業に該当すると単純に見ることはできない。貸金業法第二条第一項三号には「物品の売買(中略)を業とする者がその取引に付随して行う」金銭授受は貸金業に当たらないと規定されている。つまり、摘発された販売業者が行った金銭の授受は情報商材という取引に伴って発生したものであり、貸金業に相当するとは必ずしも言えない。
しかし、これらの業者が扱っていた情報商材は、記事によると「ほぼ価値のない情報」であり、その金額である「最大8万円」という価格に合理性が認められなかった。結果として、そのスキームは貸金業に該当すると論定され、代表らは貸金業法及び出資法違反として逮捕された。
茨城県警が執念の摘発!
「先払い買い取り商法」とは
警察による一連の後払い現金化商法の逮捕が続いた結果、今度は「先払い買い取り商法」と呼ばれる新たな業態が誕生し、瞬く間に広がっていった。後払い現金化商法が出現した時と同様に、先払い買い取り業者の大半は給与ファクタリングや後払い現金化からの転業組であったと容易に推測できる。
そのスキームについて説明する。資金需要者は買主であるヤミ金(多くは古物商として偽装)の指定するスマホやゲーム機器といった中古品や未使用品を売却する申し込みを行う。業者は申込者(売主)を与信判断した上で、その審査が通った申込者とのみ買い取り契約を交わす。