常識破りの「残虐性」も
実は合理的だった!?
まさに「無敵のビジネスリーダー」といえる桓騎だが、実は非常に残虐なキャラクターとしても知られる。
一般的な武将であれば、戦場のそばに住んでいる人など、戦争とは関係のない市民の命までは奪わないのが常識だ。一方、桓騎はそうではない。罪のない人も平気で手にかけるような人物なのだ。入山氏も「読んでいて胸が痛くなる」というほどである。
何しろ桓騎は盗賊時代、一つの城邑(城壁に囲まれた町)を攻め落とした後、自ら住人全員の首をはねたことがあるという。それが由来となって「首切り桓騎」の異名を取っている。
しかし、実はそれも彼の戦略だ。敵に大打撃を与えることで勝敗を鮮明にし、無用な争いを防ぐことで、結果的に死者数を抑えているのである。ただ残虐なだけではなく、戦争に勝つ上で最も効果的な手段を考えた結果、「トータルの死者数が少ないならいいじゃん!」(入山氏)という合理的な判断を下しているのだ。
そんな桓騎の生きざまは、「常識から外れない」ことを重視して行動を起こせないビジネスパーソンにとって、ある意味で参考になる。
入山氏は「残虐なことをしろ、と言っているわけではないですよ」と前置きした上で、次のように結論付けている。
「これからはビジネスの世界も変化が激しくなるわけですから、常に常識を疑った考え方を持つことが大事です。このことを桓騎は教えてくれるのです」
いかがだっただろうか。「学びの動画」の特集『入山章栄の世界標準の経営理論』では、『キングダム』と企業経営の共通点を詳しく解説している。
また実は、入山氏が「ビジネスパーソンの参考になる」と考えているキャラは、桓騎のほかにもう一人いる。その人物は誰なのか――。本記事で興味を持った方は、ぜひチェックしてみてほしい。