新・理系エリート#4Photo:PIXTA

慶應義塾大学の総合政策学部と環境情報学部は「SFC」と呼ばれ、人気を集めてきた。そのSFCの前に立教大学、青山学院大学、横浜国立大学の新学部が包囲網となって立ちはだかる。これらが慶應SFCにとって脅威となるのには、ある共通した理由がある。特集『新・理系エリート』(全59回)の#4では、SFC包囲網に迫るとともに、文理融合系である総合科学系54学科について10年間の偏差値推移を大公開する。(ルートマップマガジン社取締役・編集長 西田浩史、ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

「慶應SFCの人気を
立教と青山が奪うかも」

「慶應義塾大学SFCの人気を立教大学と青山学院大学が奪うかもしれない。慶應SFCに合格した受験生が立教大か青山学院大にもダブル合格(W合格)した場合、2~3割は後者を選ぶんじゃないかな」。そう語るのは神奈川県横浜市に本部を構える大手塾の関係者だ。

 慶應の「SFC」は神奈川県藤沢市にある湘南藤沢キャンパスの略称だが、このキャンパスにある総合政策学部と環境情報学部のことを指して語られることが多い。本稿でもこの2学部をSFCと表現する。

 慶應SFCと立教大あるいは青山学院大の従来の学部にW合格したら、慶應SFCに進学するのが一般的である。この大手塾関係者が言及しているのは、2026年4月に立教大が開設を予定する「環境学部(仮称)」、青山学院大が新設する「統計・データサイエンス学部」のことだ。

 いずれも慶應SFCと同様、文系と理系を融合した文理融合型で、トレンドに応じた分野を設定したとはいえ、「さすがに慶應SFCの脅威にならないでしょ」と別の塾関係者は首を横に振る。確かに冒頭の大手塾関係者の発言はとっぴにも映るが、その見立てには根拠があった。

 次ページでは、SFC包囲網の全貌、そして文理融合型である総合科学系54学科について10年間の偏差値推移を大公開する。