大学 地殻変動#1Photo:a-clip/gettyimages

推薦を主体とした「年内入試」シフトが進み、学校推薦や自己推薦による推薦入試の入学者数が一般選抜入試の入学者数を上回るようになった。追い風が吹く自己推薦で受験する「総合型選抜入試」において、従来の偏差値は通用しない。そこで、特集『大学 地殻変動』(全21回)の#1では、首都圏の大学が実施する総合型選抜入試の特色と難度をつまびらかにした。(ルートマップマガジン社取締役・編集長 西田浩史、ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

底辺校から難関大学合格が
ざらに起こるのが総合型選抜

 大学入試に今、地殻変動が起きている。推薦を主体とした「年内入試」シフトが進み、学校推薦や自己推薦による推薦入試の入学者数が一般選抜入試の入学者数を上回るようになったのだ。

 年内入試の一つに「総合型選抜入試」がある。以前は「AO入試」と呼ばれていた自己推薦入試のことだ。2013年度入試の総入学者数60.4万人のうち5.2万人だった総合型選抜(当時はAO入試)の入学者数は、その10年後の22年度入試では総入学者数62.9万人のうち8.5万人にまで増加した。

 22年度における合格者数に対する志願者数の倍率(志願者数÷合格者数)は、一般選抜が2.9倍なのに対し、総合型選抜は1.9倍。総じて総合型選抜は“狙いやすい”ということだ。

 総合型選抜は、学力だけで合否が決まらない、あるいは学力評価をしない大学もあるので、一般選抜のような偏差値が存在しない。

「エリアで一番偏差値が低い高校の生徒が難関大学に受かった――そんなことが割とざらに起こるのが総合型選抜。これを逆転合格だといって驚くのは、偏差値の概念があるから。なぜ受かったのか。それは正しくマッチングしたから」と総合型選抜専門塾AOIの小澤忠代表取締役は言う。

 とはいえ、受験する身としては、目安として相対的に比較した難度が気になるところ。そこで各大学の総合型選抜について、特色が分かるかたちで序列を作成した。本特集#1は「首都圏編」として、注目度の高い試験を中心に34大学をマッピングした。

 最も難度が高いのは、国立だと東京大学、私立だと早稲田大学と慶應義塾大学。これだけ聞けば、一般選抜の偏差値ランキングとさして変わらない。今回作成した総合型選抜の序列で最も重要なポイントは、入試の特色によって「達成度評価型」「将来性評価型」「中間型」の3タイプに分類したことだ。

 達成度評価型では東京大と早稲田大が上位。将来性評価型では慶應義塾大が上位に君臨する。一発逆転を狙うとしたら、勝ち筋があるのは将来性評価型だ。では、このタイプには慶應義塾大のほかにどんな大学があるのか。どんな序列になっているのか。

 次ページでは、首都圏34大学の総合型選抜(学校推薦型選抜を一部含む)について、ルートマップマガジン社が作成したタイプ別序列を公開する。