主語が「自分」になっている

 自分たちが提供する要素や内容を伝えている時、主語はすべて「私」です。「私はこういうことをやる」「私はこんなことを知っている」。でも、お客さんはそんなことに興味はありません。

 以前、テレビで「お見合い番組」をやっていました。集団お見合いパーティのような番組で、お互いに惹かれる異性にアピールします。ここである男性が好きな女性に対し、アピールしていたのですが、その時のフレーズがとても印象に残りました。

 彼は、「私は、○×大学を卒業して、こういう仕事をしています」「私はこういう趣味があって、週末はこういうことをしていて、好きな食べ物はこれで……」と延々と自分の話をしていたのです。相手の女性の話を聞くのではなく、全部主語が「私」でした。

 この段階で、その番組の出演者からは「あぁ、こういうパターンはダメだな」という声が漏れていました。

 自分の要素を知ってもらわなければ、相手に気に入ってもらえないと感じていたのでしょう。ひたすら「自己紹介」をしていました。でも、人はそれでは興味を持ってくれません。自己紹介、自分の要素を語るのは大切です。ですが、相手が知りたいのは、「その要素がある結果として、私がどうなるの?」ということです。

「私がどうなるの?」がわからなければ、相手の話に興味を持ちません。これは婚活もビジネスも一緒です。相手の立場に立って伝えなければいけません。ただ、これが結構難しいです。相手の立場に立っているつもりで、自分目線から抜けきれないことが非常に多くあります。

 商品も同じです。「私はこんな商品です」と一生懸命うたっても、この残念な自己紹介と同じです。自分の売り物を語る時に、スペック押し、要素押しになってしまうのは、主語が「自分(自社)の商品」になっているからです。「うちの商品は、最先端技術を使って作られています」「うちの商品は、材料にこんなものが使われています」など。

 主語が自分になっていると、どうしても「自分の話」になってしまい、必然的に自分目線になってしまいます。本当は相手が望む話をしなければいけませんが、自分の話をしてしまうので、相手目線が欠如してしまうのです。