今回は良い質問をするために、どのようなことに気をつけるべきかについてまとめてみた。なお、以前、『「いい質問」ができる人は出世する』で質問についての記事を書いたこともあるので、こちらも参考にしてもらえれば幸いである。
以下、7つの項目に分けて、「いい質問」をするためのポイントをまとめてみた。
(1)主張をするのではなく、質問をしよう
基本中の基本だが、ここですべきは質問であって、主張ではないということを認識しよう。もちろん、普通はこのことはわきまえられている。ただ、偉い人が下位の人のプレゼンテーションを聞いた後の質疑応答の時間で、質問ではなく当人の評価を延々と述べるようなことが会社では行われる。
講評の時間であればそれは許容されるが、質疑応答とは質問と疑問について意見を交わす時間なのであるから、ふさわしくない。記者会見の質疑応答や国会の委員会などでの質疑の時間において、質問をせず、ひたすら主張をする記者や議員を見て、「あれはひどいなあ」と思っているのであれば、自分も同じことをしていないか、特に上級管理職の人は自分の言動を振り返っていただきたい。
(2)何を質問したいのか(何が聞きたいのか)を明確にしよう
(1)に関連するが、まずは自分が何を聞きたいのかを明確に絞り込んでから質問することが重要である。よくあるのは、「○○のようなことが起こっているが、それをあなたはどう思うか」といった質問である。普段の会話であれば何も問題はない。相手が答える範囲に制約を設けず、自由に答えてもらうことができるいわゆる“オープン・クエスチョン”であり、楽しい会話を進めていく上ではお勧めできる質問形態である。
しかし、深刻かつ重要な場面での質問の形式としてはふさわしくない。このような質問は、聞き手が本当に聞きたいことが絞り込めていないから、とりあえず言っただけで、「何を質問すればいいんでしょうか」と聞いているのに等しい。すなわち、聞き手の中で重視すべき評価基準やこだわるべきポイントがないことを意味する。
少なくとも「○○のようなことが起こっているが、この事象は今あなたが発表した○○の内容に対してどのような影響を与えるか。ポジティブ・ネガティブの両面から説明してくれないか」のように質問すべきである。この際、聞き手は、○○の事象がどのように影響しそうなのか、すでに自分なりの仮説のようなものを持っておくべきだ。この質問によって、相手が影響度をしっかり考慮しているかを把握し、さらにはネガティブポイントに対して対応策を用意できているかを(追加で)聞くことができる。
もしこれらがしっかり答えられる相手であれば、プロジェクト運営として確実に進められていることが明らかになる。それはもちろん聞いている人全員にとっても大きなプラスとなるし、その質疑応答自体がプロジェクトを進めるためのひとつのプロセスとして機能しているという意味でも意義深いものになる。このように明確な意図を持って絞り込んだ質問を行うことが重要である。