(6)話をよく聞き、矛盾点や改善すべき点などあれば、追加で質問してみよう

 質問をするときにやりがちなことは、良い質問をしようと頑張るあまり、質問をしただけで満足してしまい、相手の回答をしっかり聞くことができないことだ。回答を注意深く聞き、そこに矛盾点や改善点などがあれば、追加質問をすることが重要である。

また、その質疑は、回答者が建設的に考えるきっかけを与えるものであれば、なお望ましい。というわけで、できれば1つの質疑で終了するのではなく、2往復くらいの質疑が展開できるような形式を選び、かつそれに値するような良い質問を質問者は考えて発するべきであろう。

(7)枝葉末節にとらわれず、本質的なことを聞こう

 さて、これが一番重要なポイントである。資料を作り、発表する立場になってみれば、いろいろできていないこともあるし、考慮しきれていないこともある。そのような状況の中で、発表者は無防備な形で質問を受ける。一方、質問者は立場が強い。何でも聞けるし、質問という名目での糾弾もできる。資料のフォントがそろってないとケチをつけることもできるし、誤字脱字があると非難もできる。

 質問する側として、安全地帯から自由に物が言える立場にあぐらをかき、枝葉末節についての質問(という名の文句)を垂れ流す人をあちらこちらの会議で見かける。もちろんそういう対応が常にNGというわけではないが、できるだけ提案の本質に関わるところを抽出し、その分析や提案の中身そのものを議論するための質問を投げかけたい。

 本質的な質問とは、質問を受ける立場の人が、「あの質問は厳しかったが、その後、再考することで、失敗を免れることができた」とか「あそこで突っ込まれたから、計画が盤石になった」とか「あのときの一言で、その後の仕事の仕方が変わって自分にとってとても良かった」などと振り返ることができるような質問のことを言う。特に会社の上位者は常にそのように思われる質問を投げかけられるように、不断の努力を続けなければならない。

 質問はすごく重要である。良質なやりとりが行われると、話の内容の理解が深まるだけでなく、そこにいる人たちに幸せな未来の予感が生まれ、明日から何をやれば良いかのイメージが形成される。そして、一体感が生まれて、組織の士気が大幅に向上するのである。

 いろいろと述べてきたが、記者会見での記者の質問技術を揶揄しているばかりではなく、自らをも含めた社員全員の質問技術を上げて幸せな組織を作っていきたいものである。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)