映画館だとSNSをチェックできないから映画に集中できると考える人、映画館だとSNSをチェックできないから自宅で観たいという人。どちらも、SNSの影響を自身で自覚している点では同じである。

 筆者もその一人であり、ここで現代人のこの習性について良し悪しを論じるつもりはない。ただ、このような状況が少なからずある中で、それでも「映画館で映画を観る」行為についての価値を考えてみたい。

一般料金2000円時代へ
「贅沢」を逆手に取ったサービスも

 映画はだいたい2時間〜2時間半程度の作品が多い。けれど、現代人はその数時間の集中力を保つことがなかなか難しくなっている。こういった指摘は以前からある。

 PCにダウンロードした映画を早送りで見る人が増えた、というのもそうだろう。当然賛否があり、それでは作り手が考えている「間」や「余白」が台なしではないかという意見がある一方、ストーリーの概略だけわかればそれでいいと思っている人にとっては効率的である。

 損害賠償金5億円の支払いが命じられた「ファスト映画」の例もある。これは、画像や動画を使い、その映画のあらすじを10分程度に編集して動画配信していたYouTubeチャンネルの運営者に対して、映画の権利社らが損害賠償を求めたもの。

 これまでに3人に対してそれぞれ5億円の損害賠償金支払いを命じる判決が出ており、今年の夏には海外に住む被告にもこの判決が言い渡された。

【参考記事】
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1526285.html

 著作権侵害はあってはならないことであるが、ここまで「ファスト映画」に需要があるのも驚いた。アップロードされていた13社54作品の視聴回数は約1000万回に上っていたという。