それでもなお大画面にこだわりたいとすれば、それは内容にも関わってくるだろう。大迫力のアクション映画や、ゴジラのような怪獣映画であれば大画面を選ぶが、恋愛映画やヒューマンドラマなど人物描写がメインであれば、配信を待ってもいいと考える人も多そうだ。

 それでもなお映画館で映画を観る理由についてエピソードを集めてみたところ、次のようなものがあった。

「今は配信でなんでも見られるイメージが強いが、有名ではない監督の作品や海外のドキュメンタリーは、ミニシアターの期間限定でしか観られないことが多い。今は映画館どこも厳しいが、そのときにそこでしかやらないものを上映しているミニシアターには固定ファンがそれなりに多いのではないでしょうか」(30代男性)

「その映画に出ているアイドルのファンだったり、アニメファンの中には映画館で売られているグッズ目当てで行く人も多いと思う。後からネットで購入できるものもあるが、値上がりしていることもあるし、売り場に並んでいるものから選ぶのが楽しいので」(20代女性)

「照明の使い方や、映画の色彩にこだわる監督の作品の場合、映画館で観るのがベストなのだと思う。自宅の環境で見るとただ暗いだけに見えることがある。ただ、映画館で観てセリフが聞きとれないことがあり、邦画でも字幕が欲しいことがある。自宅で観ていれば巻き戻せるので、どちらで観るかは作品によって迷う」(40代男性)

 最近はテレビ番組で頻出するテロップに慣れている視聴者も多いため、基本的に字幕のない邦画で大事なセリフが聞き取れなかった経験は多くの人にあるのではないか。

映画館で映画を見るのは
マニアックな行為に?

 冒頭で紹介したtogetterでは、映画館で映画を観ない人の理由として、周囲の状況が気になるというものがあった。たとえば、近くにいる人の匂いや、咳払い、笑い声、貧乏ゆすり、といった挙動が気になる人もいるだろう。繊細な人にとっては、映画館で隣や近くに誰が座るか毎回賭けのようなものだ。

 上映前に鑑賞マナーの注意が必ず入ることでもわかるように、完全にストレスフリーで楽しめる場合ばかりではない。

 だからこそプレミアシートもそれなりに需要があるのだろうし、そこまでお金をかけたくない人は「配信を待てばいい」となる。家でも映画を楽しめる時代となり、映画館で映画を観る理由は、それなりにマニアックなものになっていきそうだ。