作品そのものや作り手の細部への腐心を見るのではなく、あらすじを手っ取り早く知ることができればそれでいい人が、それなりにいるということだ。無料でできる手頃な暇つぶしなのだろうか。
実際、映画館で観る映画は高い。万事値上げムードの昨今、映画も例外ではなく、今年に入って主要事業者の5割が値上げを行い、「一般料金2000円」が主流になっている。
【参考記事】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2284K0S3A620C2000000/
筆者も映画館で最初に「一般2000円です」を聞いたときは、一瞬息が止まりかけた。サービスデーや夜間帯での割引を狙わないと、厳しいものがある。
友人の30代男性が「たまの休日に妻と映画に行こうと思っても、往復交通費、チケット代、ポップコーンとドリンク代を考えるとあっという間に5000円を超える」と嘆いていた。「ポップコーンとドリンクを節約しては?」とも思うが、ポップコーンも映画館で映画を観醍醐味の一つと考える人もいるし、その気持ちはわかる。
最近では、「映画館で映画を観るのって贅沢じゃない?」という庶民の抱く思いを逆手に取ったかのように、豪華なVIP席を用意する映画館もある。
価格帯は1人5000円から、ペアシートで3万円ほど。ストレスフリーなVIP席で映画を鑑賞できるだけでなく、前後にドリンクなどを楽しめるラウンジ付きである場合もある。
これは映画だけでなく、その前後の体験も合わせて楽しむサービスであり、配信で事足りてしまう(こともある)時代ならではだ。
限定公開、グッズ目当て?
それでも映画館で観る理由
映画館で映画を観るメリットとして挙げられがちだった「大画面、大音量で楽しめる」については、時代とともに自宅用テレビの大画面化、高性能化が進み、もちろん映画館のスクリーンには敵わないものの、自宅でもそこそこの環境で観られるようになってしまった。