社会のIT化、個人情報保護という考え方の成熟、都市部におけるマンションのオートロック化、これにストーカー防止法の成立が、学会にとって向かい風となって立ちはだかる。

 本来は恋愛、男女関係での振る舞いを規制するストーカー防止法だが、ここで禁止されている「つきまとい」「待ち伏せ」といった行為は、かつて熱心過ぎる学会員たちの間で勢いあまって行ってしまう行為の定番である。これが時代が進むにつれて、社会全体で敬遠されるようになった。

 支援団体である公明党の与党参加以降、その唯一にして最大の支持母体であり創設団体の一員としての振る舞いが求められることは、学会員たちもわかっている。かつてのような拡大路線では立ち行かない。

 “熱心な勧誘”で知られた学会にとっては、厳しい時代である。

池田大作の後継者は
やはり池田大作という現実

 そのため、近年はかつてのような拡大路線は鳴りを潜め、「無理に折伏(弘教)や聖教新聞の拡張をしなくていい」という指導が地域レベルでもなされているという。これに伴い、内部の引き締めが年々強くなり、とりわけ2015年の学会による安保法制容認以降、かつては「内部でなら何を言っても、まずされることのなかった」(元学会員)という除名処分が乱発されるようになってきたといわれる。

 攻めから守りへの転換だ。

 この方針転換した学会を、またもビジネスの世界に置き換えると、単なる池田大作というタレントを扱う芸能ビジネスから、コミュニティ化したファンのみをターゲットに据えたコミュニティビジネスへと変わりつつあると言える。池田大作ファンが集うサークルの運営と、グッズ販売だ。

 大企業の寿命は15年とも、20年とも言われる。宗教離れが著しい時代だ。新規入会者は、国内ではもう募ることが難しいのが現状である。

 そのため学会は、今海外に新たなる市場を求めているという。巨大宗教法人である学会は、稀代のカリスマ・池田大作のコンテンツを提供する老舗として、今後も安定成長を続けるのではないだろうか。

(フリージャーナリスト 秋山謙一郎)