変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)でIGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていくこれからの時代。組織に依存するのではなく、私たち一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルになることが求められる。本連載の特別編として書下ろしの記事をお届けする。

「仕事ですぐに行き詰まる人」のたった1つの特徴とはPhoto: Adobe Stock

変化が速く、激しい時代

 グローバル化に続いてデジタル革命が起きたことで、世の中の変化は速く、激しくなりました。近年では、スマホが出現したことで、あらゆるものがスマホに取り込まれるようになりました。

 そのような変化は、業界全体のみならず、皆さんの仕事の中でも日々起こっているのではないでしょうか。この背景にはコミュニケーションツールの進化があります。数年前までは対面で会議をすることが当たり前でしたが、コロナ渦を経てウェブ会議が一般的になりました。電話やEメールよりもSlackやSNSでやり取りすることの方が多い企業も増えてきたのではないでしょうか。

1つのプランがうまくいくことは、ほとんどない

 このような時代に1か月かけて1つのプランを練り上げても、いざ実行するタイミングでは、プランの背景となる事実が変わっていることも多々あります。たとえば、競合が類似商品を出してしまったかもしれませんし、顧客が自ら解決策を生み出しているかもしれません。

 昨年末から世間を騒がせている生成AIにしても、その機能や精度、使用方法は日々進化しています。生成AIによる本格的な変化はこれから起きると思いますが、すでにアイデア出し、翻訳、要約、資料のドラフト作成などで有効活用している方も多いのではないでしょうか。

変化に備えて、複数のオプションを用意しておく

 こうした時代で結果を出し続けるには、常に複数のオプション(プラン)を用意しておくことが重要です。

 半年かけて1つのプランを練り上げるよりも、粗くてもいいので3つのプランを1週間で作ってすぐに試した方が、有効なことが多いといえます。

 常に複数のオプションを用意しておくことを意識すれば、変化に対して寛容になれるので、新たなビジネス機会を見出すことができるでしょう。

「アジャイル仕事術」では、オプションを出すための具体的な方法以外にも、働き方をバージョンアップするための技術をたくさん紹介しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社、2022年6月29日発売)が初の単著。