ブランディングは、人間同士の関係構築作業
会場やオンライン視聴者からは、「ブランディングとマーケティングの両立」や「ヒットをロングセラーに変えるためのアクセルの踏み方」などの戦術について多くの質問が寄せられた。
「単純に言うと新しい可能性を試すときはクリエイティブ、生産性を高めるときはマーケティングが有効。
ただし、同じことをやり続けると生産性は落ちる。今のフェーズをどう捉えるかによって重心は変わるが、常に可能性を追求しながら生産性を高めていく、つまりどちらもやることが重要」(野崎氏)
「アクセルをどこで踏むかはアンテナと勘。外的要因とは関係なく、あえてブレーキをかけてびっくりさせたり、めちゃくちゃにアクセルを踏んだりして、自分なりの『うねり』を作り出せた時に潮目が変わる。08年に発売したアロマディフューザーが主力商品になったのも、発売時にたまたまヒットした勢いに乗じて、やり過ぎというくらい店頭に展開して現場力を爆発させたから。やるとなったら徹底的にやる」(嶋崎氏)
また「今回の事例にあったBtoCのブランディングの取り組みを、BtoBに応用するためのヒントは?」という質問に、「BtoCとBtoBに本質的な違いはない」と言い切ったのが野崎氏だ。
「誰の中にもビジネスの論理と生活者の情緒が同居しているのが当たり前。ブランディングで重要なのは、Bの中に必ず存在しているCとの関係をきちんと構築できるかどうか。特に今は、いい意味で公私の境界が曖昧になり、ビジネスの中で個人らしく振る舞える範囲が広がっている。関係性構築においてBとCを分ける意味はどんどんなくなってきていると思う」(野崎氏)
生活者、自己否定、突破、N=1、戦わない……など、さまざまなキーワードが飛び出し、熱量の高い議論となった今回のセッション。消費者との絆を結ぶために試行錯誤を重ねているBtoC企業はもちろん、これまでブランディングとは縁が薄かったBtoB企業にとってもヒントの多い内容だったのではないだろうか。