ビジネスで今後ますます必要と
されるクリエイティビティ
人間が視覚から得る情報はテキストだけではなく、画像や映像が加わることによって理解や記憶が進むということもあります。近年、企業から公開される情報も動画が主体に変わってきています。BtoC企業は特にその部分に力を入れ、いろいろなクリエイティブを出すようになりました。
このような状況で、「AIが人の仕事を奪う」ということはあり得ません。なぜなら、必要とされるクリエイティブが指数関数的に増え、クリエイターが追いつかない状況になっている領域では、むしろ率先してAIに仕事をやって欲しいというところが増えているからです。
最近も、オタク同士の出会いを支援するマッチングアプリ「オタ恋」の生成AI画像による“濃い画像”の広告が話題になっていました。実在しないカップルの画像を大量に生成してSNS広告などに掲載したのですが、入会者が非常に増加し、大きな効果があったといいます。
こうした例は今後もたくさん出てくると思われます。クリエイティブを相手に合ったかたちで出すことは、一般消費者向けプロダクトだけでなく、社内向けの説明でも本来は求められることです。自分の提案する施策を理解してもらうためには、テキストや画像、さらには動画といったクリエイティブの要素が必要です。今後は堅めの会社でもますます、そういうクリエイティビティが必要とされるでしょう。
今までは自分でイチからアニメーションを書いたり、デザインを起こしたりすることは困難でしたが、それが誰でもできるような世界になりつつあります。プロのクリエイターにとっても、こうしたツールの出現と進化が制作を支援し、楽にしています。Expressのようなウェブベースのコラボレーションツールが、クリエイターの創造力の価値を損なうことなく、さらに組織の中や協業する人たちとの仕事をスムーズにしていくようになることを、私も期待しています。
(クライス&カンパニー顧問/Tably代表 及川卓也、構成/ムコハタワカコ)