なぜアルトマンはOpenAIを追放されたのか?

 なぜ、アルトマンは自分の会社を追われることになったのか? まだ真相は明らかになっていないが、追放劇の火種となったのは、OpenAIの内部でAIの安全性を巡る意見対立があったからだといわれている。

 アルトマンは、自社で開発しているAIの商業化も、会社の成長を推し進めるスピードも、どんどん上げることを求める急伸派。一方、AI研究を指揮していたチーフサイエンティストのイリヤ・サツケバーはペースを落とすよう主張し、激しく対立していたとされている。

 これはテック業界の思想の対立を反映しているかもしれない。理事会のメンバーは、効果的利他主義(Effective Altruism、EA)と呼ばれる、「最大多数の最大幸福」の功利主義の修正版のような社会思想を信奉しているという不確実な情報もある。彼らは金銭的な利益よりも人類の利益のためにAIを発展させることを望んでいたため、アルトマンの急進主義を罰しようとしたようだ。

 一方、アルトマンのような商業派は、AIの恩恵を資本主義の力であまねく広げるという「加速主義」と呼ばれる思想を信奉しており、AIの危険性を恐れていない。

「これを身に着けるのは最初で最後」と、OpenAIのゲスト用入館証を見せるサム・アルトマン