師匠が実践していた働き方
その言葉とは「頑張るのはいいけど頑張りどころを間違えちゃいけない」というものです。
このときの師匠たちは皆私よりも仕事がありました。次から次へと仕事が来るような状態で、側から見ても「終わらないのでは?」と思うような仕事の量でした。
しかし、それでも師匠たちは私よりも余裕を持って仕事をしているのです。その理由は先ほどの言葉にありました。
詳しく話を聞いてみると、師匠たちは自分の仕事は一人では片付けられないことを自覚し、ちゃんとまわりの手を借りながら仕事をこなしていたのです。対する私は、自分一人で仕事のすべてをどうにかしようとしてしまい、自分で自分の首を絞めていたのです。
師匠はときには漫才台本を私に書かせてくれたり、アイデア出しを弟子に手伝ってもらったりして、チームで働くことを強く意識されていました。そうすることで、師匠たちだけでなく弟子も経験を積むことができるため、まさに一石二鳥なのです。
当然、師匠たちは、その分やりたいことに比重を置いて働くことができるため、私よりも仕事は多いのに、質も高いという理想の状態が出来上がっていたのです。
以降、私もまわりの人の手を借りることを覚えて働くようになりました。何十年も働けているのは若い頃に仕事の本質を教えてもらえたからだと思っています。
ほんの些細なことですが、大事なことですので、皆さんもぜひ頭の片隅に入れておいていただけると幸いです。