クラフトビールを注文するとき
どこをチェックすべき?

 逆に言えば、クラフトビールは種類が多すぎて、何を選べばいいのかわからないという人も多いのではないだろうか。現在、街には多くのビアバーが存在するが、メニューを見ただけでそれがどのようなビールか理解できるのは、一部のマニアだけだろう。

 そういう時は遠慮なく店員に説明を求めればいいのだが、混雑時などは気が引ける。そこで最低限、押さえておくべきスタイルを以下にまとめておこう。

▼IPA
インディア・ペールエールの略称。ホップを大量に使い、苦みと香りが豊か。
▼ペールエール
苦味と香味の利いた、淡色のビール。軽快な喉越しで、世界中で好まれている。
▼ヴァイツェン
大麦ではなく小麦を原料に用いた白ビール。苦味が薄く、フルーティーな香りと清涼感がある。
▼スタウト
ローストした麦芽を材料とする黒ビール。どっしりと濃厚な味わいが特徴。

 このほか、柑橘香や野性味を表現するものが多い「セゾン」、ホップの苦みと麦芽のコクを感じさせる「アンバーエール」、乳酸菌が織りなす酸味が特徴的な「サワーエール」などが、街のビアバーで見かける機会の多いスタイルだ。

 ただし、同じスタイルでも副原料や製法によって絶妙に味は変わる。つまり、つくり手ごとの個性が表れやすいということで、それこそがクラフトビールの面白いところである。

 最初のうちは、なんとなく気になったものを片っ端から味わってみればいいし、出身県のブルワリーのビールを積極的に推すのもいいだろう。数をこなすうちに、きっとお気に入りのスタイルが見つかるに違いない。

 また、メニューに併記されている「ABV(Alcohol By Volume)」はアルコール度数を意味し、「IBU(International Bitterness Units)」はビールの苦みを示すものだ(数字が大きいほど苦みが強い)。個人的にはあまりこの手の数字に惑わされずに、味や香りから好みのスタイルを探してほしいと願うが、ビール選びの参考にしてほしい。

 そして、深淵なクラフトビールの世界を探検するかのように、今宵の1杯を存分に楽しんでいただければ幸いだ。

「クラフトビール」をサラッと注文できる基礎講座、いつものビールと何が違う?ビールの注ぎ口は「タップ」という  写真提供:代官山 ビビビ。