「伝え方に技術がある!」と
気づいたできごと
──伝え方が苦手だったからこそ気づき、技術として体系化できたこと
小太りになった私は、もがきながらも道を探していました。いいコトバが集まっていると言われる詩集、書籍、名作コピー集を読みあさりました。心を打つコトバ、感動的なコトバに出会うたびに、ノートに書き写しました。くる日もくる日も、読み続け、書き写していると、気になることが出てきました。
「あれ、このコトバとこのコトバ似てるな」
と感じることがありました。単語が似ているのではなく、コトバの構造が似ているなと。もしかしたら法則があるのではないか?という仮説が生まれました。例えば、わたしの心を動かしたコトバで
「考えるな、感じろ」 燃えよドラゴン
「ちっちゃな本が、でかいこと言うじゃないか」 講談社文庫の広告
「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!!」 踊る大捜査線
は似ているなと感じたのです。一見、まったく違いますよね。単語はひとつも同じではありません。だけど、構造が似ていると感じたのです。どれも、正反対のコトバを使っている。
考える←→感じる
ちっちゃな←→でかい
会議室←→現場
はじめ、気のせいかなと思っていました。しかし、ただ偶然の一致にしては、見事にそろいすぎている。その奥に、明らかに何かがあるという宝物のにおいのようなものをビンビンに感じていました。すべてが正反対のコトバを偶然ではなく、あえて使っているのではないか?
「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!!」
別に「事件は現場で起きてるんだ!!」だけでも伝わるのに、なぜ正反対の「会議室」とあえて言っているのか? たまたまか?