前半戦は、上場企業数は37社と、2021年の53社よりも若干ペースが落ちましたが、ANYCOLORの上場が注目を集めましたね。スタートアップの話題としては、特にWeb3やメタバースが盛り上がり、数多くのスタートアップが調達をしています。Web3プラットフォーム「Final Chain」展開のFinal Aimや、NFTレンディングサービス提供のUnUniFiなどに注目しています。メタバースでは、クラスターなどが大型の資金調達を実施し、成長を続けています。
後半戦は、例年通りIPOラッシュで53社が上場しました。資金調達は、DXやIoT、SaaS、医療などの領域のスタートアップが多く実施した印象です。7月以降、コロナ禍による規制も弱くなり、円安の影響もあってインバウンド需要が回復しました。旅行関連のサービスは長く辛抱の時間が続いていましたが、これからの成長に期待が高まります。
2022年に注目した・盛り上がったと感じる領域、テーマ、テクノロジー、プロダクトなどを教えてください。
・Web3
Web3は注目を集めている大きなテーマの1つですね。Gaudiy運営のファンプラットフォーム「Gaudiy Fanlink」のように、新たなエコシステムを構築するビジネスも出てくる期待感があります。
・ESG、SDGs
ESG、SDGsに関連した領域のスタートアップは、機関投資家自体がそのようなテーマのスタートアップに投資すると宣言しているところもあります。脱炭素化を支援するクラウドサービスのビジネスだけでも、かなりの数が立ち上がっています。
・インバウンド
インバウンドはこの秋以降、注目度がますます高まっているトピックです。いよいよコロナ禍も終わりが近づき、外国人観光客が増えています。中国のコロナ禍の収まりはまだとは言え、多言語対応AIチャットボット「Bebot」開発のビースポークのような、インバウンドビジネス周辺で事業展開するスタートアップは伸びています。
2023年のスタートアップシーンや投資環境はどのように変化すると予想しますか。
2023年も引き続き未上場スタートアップに投資が集まっていくと予想しています。ただしグロース株は、2023年前半は相変わらず厳しい環境となりそうです。2023年の年末には今よりも回復していると予想していますし、そうなるように尽力していけたらと考えております。
毎年上場する企業が出ているDXコンサル、受託、SES(システムエンジニアリングサービス)、不動産、人材、広告代理、営業代理、M&A仲介といった8つの領域は、2023年も堅く成長し、上場する企業が出てくると考えています。