それに加えて、2023年は特にESG関連銘柄に注目したいと考えています。脱炭素社会に向け、農作物の増収や品質改善に貢献する新たな農業資材のバイオスティミュラントを食品残さから開発するAGRI SMILEも、注目している企業の1つです。
また、2022年は個人の資産運用関連の領域でのスタートアップが資金調達するのも多く目立ちました。例えば、お金の相談マッチングプラットフォーム「お金の健康診断」運営の400Fのように、お金にまつわる悩みを解決するサービスは今後も伸びてくるのではないかと予想しています。
他にも、AI×◯◯のサービスはこれからも開発が進むと思うので、引き続き注目していきたいと思います。
2023年に注目する・盛り上がると考える領域、テーマ、テクノロジー、プロダクトなどを教えてください。
・ESG
ESG関連ビジネスに対しては、継続的に投資が続いていくと予想されます。
・インバウンド
中国の動向次第ではありますが、インバウンドビジネスはかなり成長が予想されます。コロナ禍が日本国内でも落ち着く見込みが立てば、国内旅行需要の回復も見込まれるため、旅行関連スタートアップの資金調達も増えるのではないでしょうか。
・人材
少子高齢化が進み、今後も人材不足は続く見込みです。圧倒的な人材不足で、特に恒常的に募集があるのは、エンジニアやバックオフィス人材です。転職や副業のマッチングサービスを展開するPayCareerやヒュープロは、2023年も成長が続きそうです。HRTechもまだまだ成長可能性があり、採用や労務管理支援のSaaSを展開するTechouseに注目しています。
・医療、ヘルスケア
日本は医療や少子高齢化の先進国として、この分野にニーズが根強くあります。2兆円を超える時価総額のエムスリー、東証プライム上場のエス・エム・エスやJMDC、11月に同じく東証プライムへ上場市場区分を変更したメドレーなど、業績の良い会社も多く、グロース株が不調の中でも日本の数少ない成長マーケットであり、投資が集まりやすいです。不景気の影響を受けにくいのも投資が集まる要因の一つです。
2023年に注目すべきスタートアップについて教えてください。投資先の場合は、その点を明示してください。
・ビースポーク(編集部注:アンケート回答者・高野氏の投資先)
ホテルや空港、駅などでの案内に強いAIチャットボットの事業を手がけていましたが、コロナ禍の中で行政のDX支援に同事業を展開し始めました。綱川明美CEOは行政の委員に選出され、各所で引っ張りだこになっています。また綱川氏の突出した案件創出能力から、分業して組織化することができてきました。来年はインバウンドも伸びることが予想されるので、行政DXとインバウンドの両軸でさらに成長する見込みです。