・新しいエンタメ
ANYCOLORの上場により、元々盛り上がっていたVTuberも新規参入が増えるなど、さらに活況になり、ますます注目が集まった1年だったと思います。
またウェブトゥーン発の人気作品が増え、若い世代を中心に日本でも浸透しつつあると思います。日本でも制作スタジオが増えてきていますし、今後も成長する市場だと思います。
動画コンテンツにおいても、“短尺動画“がいきおいを増した1年だと感じました。スキマ時間に楽しめる気軽なコンテンツ市場は急速に拡大している分野で、ジャンルも多様化してきていると思います。ライブストリーミングも以前から拡大している市場ですが、ゲームや語学など、カテゴリーを絞ったサービスに細分化されてきたことにより、視聴ユーザー層が広がってきたように感じます。
全体的にスマートフォンネイティブの世代が増えてきたことに加え、コロナによる環境変化もあり、新しいエンターテイメントの存在感が増したと感じています。
2023年のスタートアップシーンや投資環境はどのように変化すると予想しますか。
ファンドを組成済みで投資余力のある独立系ベンチャーキャピタルも多く、CVCの取り組み姿勢も大きく変化していないため、もう1年程度はステージの早いスタートアップの調達は堅調に推移していくと思います。
リーマンショック時と異なり、VCも多様化し、層も厚くなってきていますので、急速な冷え込みにはならないと予想しています。一方でステージが進んだベンチャーの株価はよりシビアになり、シリーズB以降のスタートアップにおいては、しっかり調達出来るところと出来ないところの選別がより進むと思います。
2023年に注目する・盛り上がると考える領域、テーマ、テクノロジー、プロダクトなどを教えてください。
・高齢化社会への対応
高齢化社会の課題を解決する“エイジテック”と呼ばれる領域も引き続き盛り上がりを見せると思います。医療・介護、相続などの分野で存在感のあるスタートアップも増えてきており、より注目を集めていくと感じています。
・XR
バーチャルとリアルの融合はエンターテインメントの分野でも、ビジネスの分野でもますます盛り上がりを見せていくと考えています。
・セカンダリーマーケット
岸田内閣の「スタートアップ育成5か年計画」でもテーマの1つに挙げられていますが、スタートアップへの投資が活性化し裾野が広がってプレーヤーが増えると、スタートアップ投資からの撤退や環境変化に対応するための資本構成の再編など、未上場企業のセカンダリーマーケット(投資家間での発行済み株式の取引を行う市場)での取引ニーズは今後益々増え、注目を集めるテーマだと思います。