従来の調整ツールでは候補日時として「連携しているカレンダーの空き時間」が自動で抽出されるタイプのものも多かったが、Spirは手動でも選択できる点が特徴。空き時間のまま残しておきたい日程を候補から外したり、反対に作業時間としてカレンダー上に登録していた時間帯も候補に含めたりなど、微調整もしやすい。

候補日の選定が済んだら、生成された調整用のURLを相手に送るだけ。URLを受け取ったユーザーが日時を確定すると、連携しているカレンダーに自動でスケジュールが反映される。

調整相手もSpirユーザーだった場合には、Spir上で自身のスケジュールと送られてきた候補日時が同時に表示されるため、URLを受け取ったユーザー側もわざわざカレンダーを開いて予定を確認する手間がない。事前にアカウントをひも付けておけば、日程確定時にZoomやGoogle MeetなどWeb会議用のURLが自動で発行される機能も搭載している。

Spirはフリーミアム型のサービスで、上記のような機能は基本的に無料で使える。月額6600円からのチームプランではそこに複数の機能が加わるかたちだ。

たとえば本業用と副業用など複数のカレンダーアカウントを連携する機能自体は無料プランにも存在するが、チームプランではチーム間で予定を共有することが可能。たとえば「副業先の予定の詳細は公開しないが、その時間帯に予定が入っていることだけは共有する」といったように、細かな閲覧権限の設定もできる。

複数の担当者が同席する面接や、チームの誰か1人のみが参加する打ち合わせなど、複数人が絡んだ日程調整にも対応。他のメンバーが代理で日程を調整する機能も実装した。

大山氏によると、特にこの1年ほどで強化してきたのが同社の収益源ともなる有料版の開発と検証だ。現在はIT系のスタートアップやメガベンチャーを中心に150社以上が有料でSpirを活用。現時点では割合は少ないものの、非IT系の大手上場企業で活用される例も出てきた。

「ニーズの確かさについては手応えも掴めてきている一方で、まだまだ十分に認知されておらず、(幅広い層に対して)広がっていないとも感じています。特に大企業でも当たり前に使われるようなサービスになるかどうかが、1つの分岐点になると考えています」(大山氏)

活用シーンとして多いのは、HR部門における面接日時の調整やセールス・マーケティング部門における商談の日程調整など。Spirとしてもこの用途に合わせた追加の機能開発を進めており、直近では「Webサイトへの埋め込み機能」や日程確定時に調整相手に質問ができる「フォーム機能」などの提供を始めた。