日本でも研究開発型のスタートアップを長期間に渡って支援することを目的として、従来よりも期限を長く設定したファンドが増え始めている。事業会社や関連するCVCなどにおいても、短期的な金銭リターンを求めるのではなく、中長期的に基礎技術を用いて共同で事業を作っていくことを見据えたプレーヤーが出てきた。

一方で日本から有望なディープテック企業を輩出していく上では課題もあるという。

「日本は世界で戦える基礎技術をたくさん持っているけれど、本来はディープテックの種となる基礎技術が(事業ではなく)技術のままで活かされずにいるケースも多いと思うんです。少なくとも、その意思がある研究者や起業家に対しては、基礎技術を『事業価値が算定可能なスタートアップ』へと変える仕組みを提供する必要があります」(長坂氏)

特に創業初期のディープテック企業は、投資家目線では判断要素が少なく、投資対象にならないケースも多い。こうしたスタートアップをゼロから支援することを得意とするVCも一部では存在する一方で「正当なバリュエーションで評価されず、結果としてその後の成長を阻害する格好になってしまう」(長坂氏)こともあるという。

だからこそ、創業期においては、VCによる資金だけではなく「Non-equity型の資金」が重要になるというのが長坂氏の考えだ。

「1番最初のPMF(プロダクトマーケットフィット)に至るまでの過程を、いかにNon-equity資金で支援できるか。基礎研究の層の厚みは日本の大きな武器です。世界で見ても勝てる基礎技術がいくつも存在するからこそ、さまざまなステークホルダーにつなぎながら、事業価値が算定可能なスタートアップへ押し上げていく仕組みを広げていきたいと考えています」(長坂氏)