「確かに昨今はバリエーションもシビアですし、自分たちの事業ポートフォリオ的にもそんなに高いPERがつかないことはわかっています。それでも(上場市場に)早く復帰をしてみんなと競い合ったり、外からの期待や監視の目に触れられる状態にした方が良いと判断して、今のタイミングを選びました」(西條氏)

時価総額が高くなれば、その分だけ大きな資金を調達できるチャンスが広がる。ただ、そこまで足元で大きな資金が必要な事業をやっているわけでもなく、仮にM&Aをやるのに多額な資金が必要になっても「エキサイトをTOBした時のように(既存の金融手法を活用しながら)レバレッジを利かせて挑戦する選択肢もある」と西條氏は話す。

そもそも単一事業の会社とは異なり、エキサイトは複数事業を展開していて、なおかつ新規事業やM&Aにも取り組んでいる。上場の準備に入ると「新規事業やM&Aがやりづらくなる」観点からも、少しでも時価総額が上がるのを待つために時間をかけるのではなく、今上場することを選んだ。

「足元(期末残高ベース)で約10億円の資金があって、今回の上場で12億円を調達する計画です。未上場のスタートアップでも30億円調達するような時代ですから、見方によっては『たった22億円』と思われるかもしれません。ただ、私の金銭感覚では、22億円あれば結構いろいろな挑戦ができると思っているんです」

「それを踏まえても、絶対IPOをした方が良いなと考えて、少しでも早くできるように準備を進めてきました。もちろんバリュエーションについては(証券会社などと)議論をしたりもしますが、だからと言って上場しない方がいいとはならなかった。エキサイトとしては今後さらに優秀な人材を集めて、良いカルチャーを作り、新しい事業を楽しんでやっていく集団にしていきたい。今回の上場を経て、その規模感をさらに広げていきたいです」(西條氏)