その部分は経営陣の経験なども踏まえ、サービスごとに個別で回収期間を定めるように変えた。たとえばリピーターの多い「エキサイト電話占い」は18カ月といった具合だ(もっとも、実質は4〜5カ月で回収できていると言う)。この部分も毎月数字をモニタリングしながら、攻めの投資ができるように柔軟な対応ができるようにしているという。
ブロードバント事業とカウンセリングサービスはエコノミクス(ここではビジネスの規模や成長の分析のこと)が読める事業であり、広告費の配分を変えたことがダイレクトに事業の拡大にもつながった。カウンセリング事業はリピート率の改善につながる施策を実施し、カウンセラーの先生に担当をつけるなど、細かいオペレーションやユーザー体験の改善も加えた。
結果としてカウンセリングサービスの売上はTOB実施前と比べて約2倍に成長。約8億円から16億円まで伸びた。
メディア事業も選択と集中を実施。主力メディアである「ウーマンエキサイト」もコンテンツや体制の見直しを行い、ビジュアルを中心とした「コミックエッセイ」に注力した。これがSNSでの拡散・集客の起爆剤となり、PV数は約8倍に増加している。
2020年以降にはDX事業を展開するiXITの買収を皮切りに、新たな柱となる事業の確立に向けた取り組みにも力を入れ始めている。2021年から2022年にかけては経営管理SaaSの「KUROTEN.」、ウェビナーPDCAクラウドの「FanGrowth」など立て続けに5つの新サービスをローンチした。
西條氏によると「5つのうち2つはすでに黒字化している」状態ではあるものの、新規事業に関しては当初想定してたよりはスロースタートとなっており「伸びてはいるけれど、本来はもう少し伸ばしていたかった」現状だという。
新規事業のSaaS・DX事業の売上は約6.8億円。現在は買収したiXITによるDX事業の割合が高い。会社全体の売上の10%弱ほどの数値だが、20〜30%程度が理想だったという。
「ただ今後拡大していける自信はあります。数十社いる顧客が実際にログインして使ってくれているのか、サービスに価値を感じてくれているのか、先方の担当者とのリレーションを築けているのかといった指標を評価したところ、悪くはなかった。ここから巻き返していきたいです」(西條氏)
財務比率的には利益の3分の1を新規事業に投資する方針。エキサイトがもう一段階成長する上では、既存事業だけでなく、新規事業の成功がその命運を握っていると言えそうだ。