年商は二桁億円に、パナソニックCVCなどから20億円調達し1兆円企業目指す

デイブレイクは自社で製造機能を持たない“ファブレス型”のメーカーではあるが、それでも冷凍機の開発販売に挑戦すれば今まで以上にコストがかかり、それだけリスクも伴う。

木下氏は「そこに対しては不安もあった」が、製品自体には当初から自信があったという。10年近く代理店事業に取り組む中で豊富なデータやノウハウを蓄積し、見込み客のネットワークも構築していたためだ。

現在のアートロックフリーザーの価格は最安モデルでも約400万円。それでも導入先が広がり続けており、販売から1年半で導入社数は400社を超えている。会社の売上も年商で二桁億円規模まで成長してきた。

まずは国内市場でしっかりと勝ちきることが目標だが、その先にはグローバル展開も見据える。すでにアートロックフリーザーは10カ国で顧客を抱えるが、特に欧米などでは「ノンフロン化」などサステナブルな冷凍機を求める声が強い。現時点での製品では応えられないニーズも存在するため、冷凍機の改良も必要だ。

デイブレイクではさらなる事業拡大のための資金として、2023年7月に創業以来2回目となる外部投資家からの資金調達を実施した。金融機関からの融資も合わせて調達総額は20億円となる。

今回のラウンドではモバイル・インターネットキャピタル、環境エネルギー投資、パナソニックくらしビジョナリーファンド(パナソニックのCVC)、SMBCベンチャーキャピタルなどが株主として参画。特にパナソニックとのタッグは今後の製品開発においても大きいという。

今後は調達した資金も活用しながら環境に配慮した新たな冷媒の研究開発を進める。リモートコントロールや遠隔監視などのIoT機能の改良、データを活用したAIフリーズモードの開発など、テクノロジーを用いて利用者を手助けする仕組みの実装にも力を入れる計画だ。

「ある投資家には、『ITやAIの領域で勝てている日本企業はほとんどいない』と言われました。ですが冷凍機のようなグローバルニッチな産業や製品においては、世界で勝てる可能性がある。実際に加熱調理の領域では、時価総額が1兆円を超えるドイツ発のラショナルのような企業も生まれています。冷凍の領域はIoTやAIの活用なども含めて、これからさらに進化していく領域です。ここで世界で1番の会社になりたいですし、それができれば時価総額が1兆円を超えるところも目指せると考えています」(木下氏)