これまで展開してきたAkerun入退室管理システムはオフィス向けのプロダクトだが、今度のAkerun来訪管理システムではビル向け。大型のオフィスビルなどに設置されているセキュリティゲート(フラッパーゲート)を、セキュリティを確保しながらよりスムーズに通れる体験を作るためのものだ。
既設のセキュリティゲートに後付けで導入できるデバイスを設置することで、Akerun来訪管理システムからゲートの通過権限を自由に付与することが可能に。上述したユーザーIDの仕組みによって、各ユーザーは受付の手間なく、交通系ICカードでゲートを通れるようになる。
たとえばAkerun来訪管理システムが設置されたビルのテナントに来客がある場合、以下の流れで進む。
まずはテナント側の担当者(Aさん)が、来訪管理システムにアクセス権限を付与したい来客(Bさん)の名前や連絡先、訪問時間などを登録する。もしBさんがすでにAkerunユーザーIDを持っていれば話は早い。交通系ICカードを持っていけば、当日はセキュリティゲートにカードをかざすだけ。ゲートを通過したタイミングでAさんに通知が送られるため、オフィスに着いてからの受付もスムーズだ。
もしBさんがAkerunユーザーIDを持っていなければ、少しだけフローが異なる。まずAさんが来客登録をしたタイミングで、Bさん宛にメールで受付番号が届く。Bさんは当日受付付近に設置されたタブレットの元へ向かい、そこで番号を入力して交通系ICカードをかざす。ユーザーIDの登録に同意(許諾)をすればその後の流れは一緒だ。
多くのオフィスビルでは来訪時に毎回受付で会社名や氏名などを手書きで記載する必要があり、来訪者の負担になっていた。また「手書きで提出された来訪者の情報や履歴をリアルタイムでデジタル化できない」「名刺など複製可能な身分証明書で個人を認証するなどセキュリティ面で不安がある」などビルデベロッパー側の悩みもある。
Akerun来訪管理システムでは高度なセキュリティと来訪管理のデジタル化を進められるため、来訪者だけでなくデベロッパーにもメリットが大きいというのが河瀬氏の考えだ。テナントにとっても入居先のビルにこの仕組みが導入されていれば、夜間や休日の来客対応なども楽になる。
今回フォトシンスでは三井不動産と協業し、同社の本社オフィスエリアでAkerun来訪管理システムの実証実験を始めたことも明かしている。オフィスエリアの受付とセキュリティゲートに「Akerun来訪管理システム」を導入。来訪者はAkerunユーザーIDに登録されたICカードを利用して、三井不動産本社オフィスエリアのセキュリティゲートにアクセスできるようになる。