「実現したいのは『物理的な空間に入るための鍵を統一化すること』です。これまで様々な扉に出入りするために、それぞれの扉ごとに生成された鍵を持ち歩いていました。オフィス用の鍵やカードキー、ビルのセキュリティゲートを通るための入館証から自宅の鍵、車の鍵まで。扉と鍵はn:nの関係だったんです。Akerunではそれをn:1の関係性にしていきたいと考えています。自分たちが開発してきたハードウェアを用いて、いろいろな扉をインターネットに繋げていく。そして全ての扉を1つのIDで開けれるような仕組みを作ることで、キーレス社会の実現を目指していきます」(河瀬氏)
Akerun Access Intelligenceは大きく3種類のデータから成る。1つめが名前や所属会社、住所といった「基本情報」。2つめが電話番号やメールアドレスといった「デジタルID」。3つめがユーザーが普段使っている交通系ICカードなどの「物理ID」。これらを紐づけてAkerunユーザーIDとしている。
「たとえばオフィスの鍵を第三者に渡したいと考えた時、通常は物理的な鍵や社員証などを手渡しする必要がありました。それがAkerun Access Intelligenceだと、相手のメールアドレスがわかるだけで普段使っているICカードに権限を付与することができます」(河瀬氏)
河瀬氏は具体的なユースケースとして「賃貸物件の契約」と「ホテル」の2つの事例を挙げる。
賃貸物件の申し込みをする際に、申込書に電話番号やメールアドレスを記入することが多い。仮に申込者がAkerunユーザーIDを保有していて、入居する物件もAkerunを導入していた場合、Akerun Access Intelligenceを使って鍵の受け渡しをスマートにできる。
Akerun Access Intelligence上では申込者が普段使っている交通系ICカード情報が紐づいているので(あくまでシステム側で処理をするため、ユーザー情報が第三者に開示されるわけではない)、電話番号だけ教えてもらえれば、鍵を渡すことなく申込者のSuicaやPASMOで家の鍵を開けられるようになる。
ホテルも同様だ。予約時に電話番号を伝えておけば、同じような要領でICカードに権限を付与してもらい、部屋の鍵として使える。
ビルのセキュリティゲートをスマートに
フォトシンスでは今後Akerunの設置箇所を広げていくことで、この体験ができる場所を増やしていく方針だ。本日ローンチした法人向けの新サービス・Akerun来訪管理システムは、Akerun Access Intelligenceを広げていく上でも重要な一手となる。