各ユーザーの購入方法にもいくつかの選択肢を設けている。通常の単発購入に加えて、18年2月からはユーザーの好みに合わせて農家を提案する「食べチョクコンシェルジュ」を開始した。

選ぶ手間を省きつつ、個々に合った野菜セットを定期宅配するこのサービスはユーザーからも人気のサービスなのだそう。全体の登録ユーザー数が拡大しているのは冒頭で触れた通りだが、コンシェルジュ単体のユーザー数もこの半年間で13.1倍に増えているという。

友達と分けあえる「共同購入」の機能や、販売前に商品を取り置きできる「予約」機能なども新たに追加された仕組みだ。現在はストップしているものの飲食店と生産者を繋ぐ「食べチョクPro」も手がける。また7月にはiOSアプリをローンチしたほか、関東エリアにて初のテレビCMも実施した。

生産者向けの取り組みとしては8月から佐賀県と連携して、県内の生産者の販路拡大を支援する取り組みを開始。生産者側から要望の多かったという「ご近所出品」機能も先月リリースしたところだ。

「ご近所出品」のイメージ
「ご近所出品」のイメージ

この機能は複数の生産者がグループを作って1つの商品として出品できるというもの。面白いのはこれによってネットに不慣れな高齢の生産者も出品が可能になることだ。

実際に近所の生産者の助けを借りながら90歳の生産者がつくった食材が出品され、近々98歳の方も出品を始める予定があるのだそう。年齢に限らず「ユニークで美味しい食材を作っているけど、今まではネットで売ってこなかった生産者」が食べチョクに出品するきっかけになれば、ここでしか手に入らない食材などが増えていくかもしれない。

「サービスを運営する中で、高齢者の人が出品しづらい、C2Cだと売れにくい商材があるといったことも見えてきました。たとえば白菜などのように、箱で大量に送られてきても困ってしまうような野菜は、トマトや玉ねぎなどに比べると相性がよくない。そこでそういった人たちが協力しながら商品を作れる仕組みがあればいいのではと考えました。『隣のおじいちゃんがすごく美味しいみかんを作ってるから一緒に売りたい』といった声も寄せられてて、農家の方からのニーズが強い機能です」(秋元氏)

「プラットフォームだけどプラットフォームっぽくない」

生産者と消費者を直接繋ぐC2C型の産直マーケットプレイスは、アイデア自体は比較的思いつきそうなものの、ビジネスとしてしっかりスケールさせるのは簡単ではない領域だ。

食べチョク以外では「ポケットマルシェ」などが代表的なサービスとして知られるが、その一方でこの領域に参入したもののピボットや撤退を判断した企業も複数存在する。