「また文字起こしサービスか」と感じた読者もいるかもしれないが、Rimo Voiceが目指すのは、単なる文字起こしサービスではない。Rimoの代表社員兼エンジニアの相川直視氏は「これは働き方改革の第一歩に過ぎません」と語る。
Rimo Voiceによって会議での会話、業務間でのやりとりが即座に文字起こしされ、関係者に共有できるようになった場合、我々の働き方にどういった影響があると考えているのだろうか。話を聞いた。
多様な働き方が広がらないのは「ツール不足」が原因
相川氏が「働き方」に関心を持ったきっかけは、彼のキャリアの中にある。
彼はMicrosoft Researchでのインターンを経て、Googleへ入社。Googleで検索システムの開発などを担当した後、2012年にはビジネスSNSを展開するウォンテッドリーに入社。2016年には名刺管理アプリ「Wantedly People」の開発をリード。同社を退職後、2019年12月にRimoを創業した。創業までの間は一貫して自然言語処理や検索・推薦技術に携わっていた。
「Wantedlyは、いわば採用ツール。そこで感じていたのは、人は働き先を考えるときに『何をやりたいか』より、『どう働くか』への関心が高いことです。例えば、最近では『転勤なし』としている企業に人気が集まったり、メルカリやクックパッドなどユニークな職場環境が注目されたりしています。『どう働くか』は、もはや仕事選びの基準となっているのです」(相川氏)
とはいえ、すべての企業が新たな働き方を推進しているわけではない。副業解禁やリモートワークが定着しつつあるように感じる一方で、それを許容しない企業も多い。これについて相川氏は「ツールによる力不足」と語る。
「僕自身がエンジニアなので、同僚とのやりとりは社内チャットを使うことがほとんどでした。なので、普段の業務に関しては、リモート化できる確信があったんです。しかし、会議や1on1はリアルで話し合うからこそのメリットがあり、リモート化するには良いツールを揃える必要があります。そこで考えたのが『議事録を自動でとれるようにすること』でした」(相川氏)
会議や1on1での内容を自動でテキスト化できれば、「議事録を作成する」作業自体をなくせる。リアルで話し合う内容をその場で残せるため、離れて働くメンバーへの共有もよりスムーズになり、リモートワークなどの新たな働き方も広げられると相川氏は考えたのだ。