旅行系のメディアなど、旅行の計画を立てる領域のほか、高級ホテル・高級旅館の予約などセグメントごとに新規のプレイヤーは増えていたが、“旅行を予約する”、つまりOTA(Online Travel Agent。オンライン旅行会社)という業界ど真ん中の領域は、大手の事業者しかいない。有川氏は「創業からあえてセグメント切らず、旅行業界のど真ん中の市場だけ狙っていました」と語る。

「旅行の計画」をオンラインでも便利に、楽しく

有川氏がHotspring創業後にまず行ったのは、旅行業の登録だ。1年ほど勉強し、自らが「旅行業務取扱管理者」の資格を取得した。この資格は旅行ビジネスをするには必須になるため、あらかじめ資格保有者を採用したり、中には実質的に資格者から名前貸しをしてもらって事業を行ったりするケースもあるそうだが(編集注:名義貸しは旅行業法上の禁止行為)、有川氏は自分たちで勉強し、資格を取得することにこだわった。

「まず、僕自身も旅行のマーケットについて知らないといけません。また旅行は、国との結びつきも強い領域です。ど真ん中のお金を動かす領域で勝負したかったからこそ、国はどんなことを考えているのか、既存のプレーヤーはなぜ強いのかといったことをきちんと把握しておくべきだと思い、最初の1年は資格の勉強に費やしました」(有川氏)

 

時間をかけて大きな事業を作りたい──そんな思いで立ち上げたサービスが全国の観光スポット・宿泊施設の情報が掲載されているサイト「こころから」だ。

「資格勉強のかたわら、旅行の市場調査をする中で、まずは広く利用してもらえるサービスから入るべきだと考えました」と有川氏は語る。その後、2018年5月にリリースしたのがチャット旅行相談・予約サービス「ズボラ旅 by こころから(ズボラ旅)」だ。

ズボラ旅はチャットで旅行プランの相談から宿泊予約までを一気通貫して依頼できるサービス。具体的にはLINEを利用してスタッフとチャットで会話する中で、旅行の出発地を伝えるだけで宿泊旅行プランの提案が受けられる。

すべての提供画像:Hotspring

「日本の旅行における消費行動の”ど真ん中”は、旅行代理店の窓口に相談をしに行くことです。OTAにシェアを奪われているとはいえ、メインの消費行動はそこにあります。例えば、OTAを訪れた人のうち、約2割の人が窓口にも足を運んでいるというデータがあります。窓口にお客さんが求めているもの、課題に感じているものが集約されていると思い、僕らも窓口に足を運んでリサーチしてみたんです」