ジャニーズ、歌舞伎、宝塚…「JKT問題」の根本的解決に目をそむけて年の瀬を迎える日本人の闇今年、日本のエンタメ業界を揺るがしたいくつもの事件。年の瀬にわいてくる「このままでいいのか」という想い(写真はイメージです) Photo:PIXTA

2023年はJ(旧ジャニーズ事務所)、K(歌舞伎)、T(宝塚)という、日本のエンタメや伝統芸能の世界に大激震が走った年だった。構造的な問題があることは誰の目にも明らかだが、根本的な解決が図られるかはまだわからない。この1年から我々が学ぶべきことは何か。(フリーライター 鎌田和歌)

「まさか」の連続だった
2023年のエンタメ・伝統芸能界

 今年の始めに、年末の『NHK紅白歌合戦』に旧ジャニーズ事務所のグループが1組も出場しないと予想した人はいなかっただろう。

 3月にBBC(英国放送協会)の報道が行われた後もしばらくの間、マスコミの動きは鈍かった。4月に入ってカウアン・オカモトさんが外国人特派員協会で会見を行った後から風向きが変わり、今度は堰を切ったようにマスコミによるこれまでの反省が語られるようになった。

 その後、次々に被害を語る男性が現れ、調査チームが組まれた。故ジャニー喜多川氏の名前を冠した旧社名が変更されることとなったが、調査からすべての被害が明らかになったとは到底思えない。

 また、11月には「当事者の会」のメンバーだった40代男性が山中で亡くなっていたことが明らかになった。被害告発後の誹謗中傷に心を痛めていたと言われ、あまりにもやりきれない。

 今年、激震が走ったのは旧ジャニーズ事務所だけではない。

 テレビドラマでも活躍していた歌舞伎役者の市川猿之助が、父母の自殺を幇助した疑いで逮捕された。5月に両親と共に自宅で倒れているところをマネージャーに発見され、「両親と心中を図った」と説明したと報道された。

 マスコミは一斉にこれを報道し、経緯に注目したが、そもそもこのきっかけは女性週刊誌で猿之助のハラスメント疑惑が報じられたことだった。しかし、代々続く歌舞伎一族の悲劇にスポットが当たったことにより、ハラスメントへの追求は立ち消えとなったかのように見える。

 続く週刊誌の報道(6月8日発売『週刊新潮』)の中には、セクシャルハラスメントの被害に未成年者が巻き込まれていた可能性が指摘されていたものがあったにもかかわらず、である。