宝塚歌劇団についても、いじめ問題は以前から指摘されてきていた。2008年に宝塚音楽学校に入学した女性がその後、万引きを理由に退学を通告されたが、事実無根といじめを訴えて提訴。結局2010年に、卒業資格を認める代わりに、女性の宝塚歌劇団入団を認めないという内容の調停が成立したと報道されている。
今回の事件以降も、元劇団員で臨床心理士の東小雪さんが在籍中のいじめについて語ったものの、経営陣が真摯に受け止めているようには到底見えない。
旧ジャニーズ事務所や宝塚歌劇団の記者会見は、ファンビジネスの厚みを感じさせるものでもあった。
一般にどれだけ評価が下がろうとも、支えてくれる確固たる層がいるという自信が垣間見えたし、日本の伝統芸能として守られてきた歌舞伎はそれ以上だろう。絶対に離れない固定ファンがいるのだから、しばらくの間追及をやり過ごせば元通りになると思っているのではないか。
ファンビジネスは経営層にとっては都合が良いが、まだ何も権限を持たない若手を守るものではない。若手が告発を行おうとすれば、ファンたちはそれを無視することはあれど、ボイコットを呼びかけるなどして協力することはほとんどないというのがJKT問題で明らかになった結果だ。繰り返すが、これは既存の構造を守りたい経営層にとって都合が良いだろう。
見えている被害ほど指摘されづらい
という日本の構造的な矛盾
さらに言えばJKT問題に共通するのは、半ば公然の事実であったにもかかわらず、華やかなスターの世界の表と裏のように受け止められ、被害の目撃者が多数いたにもかかわらず、黙認されてきたことだ。