11月の判決では懲役3年・執行猶予5年が言い渡された。「有名な歌舞伎役者でなかったら、こんなに軽い刑で済んだのだろうか」という声もある中、歌舞伎ファンからは「彼の人生には歌舞伎しかないのだから」と復帰を待ち望む声が出ている状況だ。

 さらに10月に報道されたのは、宝塚歌劇団の劇団員が死去した事件だ。

 直後からいじめが原因であると報道されたものの、11月に行われた記者会見では劇団側がいじめやハラスメントを否定。遺族感情をさかなでするような会見内容に「ジャニーズの会見よりひどい」との声が噴出した。

JKTに見られる
ファンビジネスの弊害

 JKT問題の共通点はいくつもある。長きにわたってエンタメ業界の中で独自の地位を築き、強固なファンを持つ巨大ビジネスであること。そしてその特権性から、マスコミからの忖度やファンとの共依存関係があり、スキャンダルが報道されてもその構造自体の問題が強く指摘されるまでには至って来なかった。

 旧ジャニーズ事務所の場合、20年以上も前に『週刊文春』が故ジャニー喜多川氏の性加害やそれが民事訴訟で認められたことを報道していたにもかかわらず、ほぼすべてのメディアが黙殺した。

 歌舞伎界スターの問題は今に始まったわけではなく、テレビにも出演する人気役者に限ればスキャンダルが一切ない者を探す方が難しいような状態だ。しかし、これまで「才能があるのだから多少のことは」といった風潮で何もかもが許されてきてしまっていた。今回のハラスメント疑惑を発端とする市川猿之助による刑事事件でさえ、何もなかったかのように幕引きが図られているように見える。

 スキャンダルの背景には、過度なプレッシャーやうちわの世界での独特なルールによる抑圧があるのではないのか。