偏食の改善に取り組むと、やるべきこと・やらなくてもいいことが整理されます。すると、親御さんもお子さんも、気持ち的にとてもラクになるからです。

 偏食改善に取り組み、お子さんの食べられるものが増えればいうことはないでしょう。栄養面での心配が消えたり、一生懸命食事を作っているのに食べてもらえないというつらさが消えれば、子どもとの時間もより楽しいものに変わるはずです。

 ただ、実際に食べられるものが大幅に増えなかったとしても、偏食改善に取り組むことには大きな意味があります。

偏食改善で親の「イライラする時間」が減る

 子どもの偏食に悩む親御さんの相談に乗る中で、当初は「偏食改善に取り組むと、親御さんは疲弊していくのではないか」という懸念もありました。

 しかし、実際はその逆で子どもの偏食に向き合い、「子どもが食べない本当の理由」を知った親御さんの表情は晴れやかになり、焦りや悩みが軽減されているように見えたのです。

 たとえば、食事中、子どもに食べられないものがあったとしても、食べられない理由がわかっていればイライラせずに、そのことを受け止められますよね。

 また、子どもが食べたものを口から吐き出してしまったとしても、その理由がわかれば、むやみに悲しんだり、怒らずに済むのです。

 子どもが食べない理由がわかると、これまで怒っていた場面で怒らずに済み、親子関係の悪化を防げます。また、親御さん自身が「私の料理が下手だから食べてくれないんだ」など、自分を責めてつらい思いをすることもなくなります。

 こうして、親に気持ちの余裕ができると、子どもも身構えずに食卓に向えるようになるでしょう。

 子どもはとても敏感です。親の不機嫌・イライラを察知するので、親が「食べない子」にイライラしながら食事をすれば、そのイライラを受け取ります。

 こうなると、食の進みは当然遅くなりますし、食事自体が「嫌なもの」になってしまいます。

 親御さんの気持ちがラクになり、和やかに食卓を囲めるようになれば、子どももポジティブな気持ちで食事に向き合えます。このことが結果的に偏食の改善につながっていきます。