神奈川県立こども医療センター偏食外来の大山牧子先生の書籍によると、「好き嫌いは、食べられるものが20品目以上あり、栄養面などで問題がない場合」とあります。ここでもこれを「好き嫌い」の定義とし、偏食に関しては「食べられるものが20品目未満である場合」と定義して、話を進めていきます。

 ここで、「好き嫌い」という言葉について、少しお話しさせてください。

「好き嫌い」と聞くと、どこかネガティブな印象を持ちませんか?

 本当は食べられるのに、ワガママで食べていない。

 子どもに好き嫌いがあるのは、親のしつけがなっていないせい。

 好き嫌いがなく、なんでも食べる子が素晴らしい……。

 字面のせいもあり「好き嫌い=子どものワガママ」と捉える方が多いのですが、子どもは決してワガママで好き嫌いをしているわけでも、親を困らせようとして嫌いな食べ物を食べないわけでもありません。

 偏食(20品目未満しか食べられない)でも、好き嫌い(20品目以上食べられる)でも、子どもには「食べられない明確な理由」があります。

 食べられない理由があるから「嫌だ」「食べたくない」という拒否が起こるので、その理由に焦点を当てて解決策を考えることが大切なのです。

 私も便宜上「好き嫌い」という言葉を使って話すことはありますが、こういった誤解を招くので、この言葉は気をつけて使うようにしています。

「好き嫌いというのは、子どものワガママではないのだ」「食べられない理由があり、改善のための方法もあるんだ」ということを知っていただくだけで、だいぶ心が軽くなるはず。食べられないのは、親御さんのせいでも、子どものせいでもないのです。

「1つのものを食べすぎる」偏食もあります

 偏食の定義は「食べられるものが20品目未満」。

 もう少し、イメージしやすい言葉で表現すると「特定のものしか食べない」ともいえます。

 ここで気をつけていただきたいのが、「偏食=小食」ではないということです。