新NISA活用術
原則3「シンプルに」使う
新NISAでの運用で一番肝心なことは、積立投資枠と成長投資枠で同じ銘柄に投資してシンプルに運用することだ。
筆者は投資家が通称「オルカン」と呼ぶインデックス投資信託、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を推薦する。日本を含む世界の株式に平均的に広く分散投資されている効率の良さと、運用残高100万円に対して年間600円にもならない手数料の安さがその理由だ。運用商品はこれ一つでいい。
「成長投資枠」という言葉に迷わされてはいけない。
「つみたて投資枠」では金融庁が、長期投資に適した、バランス良く広く分散投資されていて、運用管理費用(信託報酬)の安い商品を適格として選定している。今や基準はもう少し厳しくてもいいかと思うが、運用のセオリー「長期・分散・低コスト」を踏まえている。ここで選ばれないような商品は、成長投資枠にも不適格なのが現実だ。
実は金融のプロであっても、いつが適当な投資タイミングなのか、特定の期間に相対的に好調な銘柄なのかを、投資の「事前に」判断することはできない。だとすると、例えば投資期間が2年や3年でも、20年、30年の場合に適切な商品と同じものを選んで、自分の投資期間が幸運な時であることを祈るくらいのことしか投資家にはできないのが現実だ。
また、もともとお金を増やすことが目的なのだから、オルカンのような良い商品でも運用コストが運用資産100万円当たり600円にならないのに、よくあるアクティブファンドのように1万円を超えるような手数料を支払うことが、そもそもばかばかしくないのかを考えるべきだ。
「長期でダメなものは、短期でもダメ」なのが現実だ。