楽しんでアウトプットするために、道具にこだわる

「ふせん」は絵馬。書くことで自己洞察が深まり、やりたいことが現実化する樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。月に20冊以上の読書を30年以上継続している読書家。そのユニークな読書術を紹介した『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)は、15万部のベストセラーに。その他、『脳を最適化すれば能力は2倍になる』(文響社)、『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)などがある。新刊「精神科医が教える 幸せの授業」が発売中。

――「ふせん」や「カード」、それらに書き込むペンに対するこだわりはありますか?

坂下 『神ふせん』で紹介しているフレームワーク「ふせんマンダラ」をやり始めた時に使った全面糊ふせんが、当時はまだドイツのプリントインフォーム社しか作っていなかったので、以来ずっと同じメーカーを使い続けています。ホルムアルデヒドを含まず、食品衛生法の基準を満たしているので、医療現場や食品業界でも重宝されているようです。

 もちろん、メモするだけなら100円ショップのふせんで十分ですし、貼ったり剥がしたりを繰り返すのであれば3Mの「ポストイット」を使うのもいいでしょう。

 ペンは書きやすい三菱鉛筆の「ジェットストリーム」を使っています。

樺沢 私はいつも、100円ショップで売っている「情報カード」を使っています。情報カードに書いたり、ノートに殴り書きしたりする際のペンは、ゼブラの「スラリ」の0.7です。ジェットストリームもいいけれどスラスラと滑りすぎるかな。自分の思考と手の動きのスピードがちょうど合うと感じるのはスラリです。

 ちなみに予定表には細かく丁寧に書くので、パイロットの「アクロボール」を使っています。いちいち書き分けるなんて無駄なようだけれど、楽しんでやれているからいいんです。

坂下 やはり楽しんでやるということが大事ですね。自分が楽しめるように、道具にもこだわればいいと思います。

樺沢 ふせんの色の使い分けはしていますか?

坂下 最初は、重要なことはピンクに書いて、黄色には何を……って決めていたんですよ。でもすぐにやめました。なぜかというと、色分けすると、思考ステップが増えて、閃きを忘れてしまうから。だから今では、ふせんであれば何でもいいやと、ルールは決めないことにしました。

樺沢 私は本を読む時にマーカーとペンで書き込みながら読みますが、マーカーの色を決めていません。その時の気分で選ぶだけ。ルールをガチガチに決めるとやりづらくなっちゃいます。「青い線はどういう意味にしていたっけ?」とか余計なこと考えてしまうと、思考が止まってしまいます。

坂下 その通りだと思います。どの色にするか考えるうちに、閃きが消えちゃう。だからアウトプットのハードルはできるだけ低くした方がいいですね。