ふせんは子どもの言語化能力を鍛えるのにもいい

──『神ふせん』では、人生の目的を見つけるメソッドを解説していますが、短いスパンの目標を立てる時にも使えますか?

坂下 もちろんです。私は自分が主催する「お金のソムリエ協会」ではこのメソッド使い、ワークショップをやっています。そこでは最初に、自分の人生の目的を見つけてもらうんです。人生の目的が見つかったら、それを具体的にして、人生の設計図を作ってもらいます。

 さらに次の段階では、人生の目的から逆算し、1年の目標や具体的な計画を書いてもらっています。その計画を日々振り返れば「今、どの段階にいるのか」「今やるべきことは何か」が明確になります。その結果、人生の目的が自分の潜在意識にどんどん染み込んでいき、現実化に近づくという仕組みになっています。

──大人だけでなくお子さんが夢を考えたり目標を決めたりするのにもいいですね。

坂下 おっしゃる通り! 子どもの時って、憧れの職業は別として、本当に自分に合っている職業が何なのかは判断できないですよね。だから無目的で学校に行く人も多い。でも小さい頃から、自分は何に興味を持ち、将来どんな職業に就きたいかを言語化できていれば、人生は大きく変わると思います。

樺沢 子どもって言語化能力が十分に発達していませんから、自分の考えをきちんと説明することは難しいんですよね。だから自分がやりたい職業とか、夢や願望とかを考え、言語化するトレーニングとして「神ふせん」は使えます。でも、子ども1人でやるのは難しいですよね。

坂下 そうですね。小学校中学年くらいまでは親御さんと一緒にやらないと難しいです。高学年から中学生だと1人でもできるようになりますよ。

人生の目的を見つけて幸せになるためのアウトプット

──坂下さんは資産形成がご専門ですよね。なぜ「ふせん」を使ったメソッドを公開することにしたのですか?

坂下 私は元銀行員として、資産形成のアドバイスから執筆活動をスタートさせました。その後、ビジネス書作家になり、お金に関する知見を生かしたセミナーを開催する中で、お金だけでなく、自分の得意分野で社会貢献することの大切さに気づきました。

 お金は、他人に貢献した時に受け取る感謝の気持ちです。世の中への貢献がお金を呼び込み、貢献そのものが幸せにつながることを実感しました。自己実現を通じて世の中の役に立つことが究極の幸福だと考えるに至りました。

 したがって、当初はお金の増やし方に焦点を当てていましたが、現在は『神ふせん』のように自己実現と社会貢献を中心的なテーマに据えて執筆活動を続けています。

樺沢 お金って大切だけど、お金を稼ごうと思って睡眠時間を削って一生懸命仕事をして体壊すと、幸せになれなかったりします。お金と健康っていろいろ矛盾があるんです。私の新刊『精神科医が教える 幸せの授業 お金・仕事・人間関係・健康』(飛鳥新社)では、そういったことを整理して説明しています。

 本の中では、健康が最も重要で、次に人間関係、そのうえで仕事とお金を目指すべきだと説明しています。しかし実際には、多くの人が健康を損なうほど仕事に熱中し、家族関係を犠牲にしてしまう。大切にする順番が間違っているんですよ。結果、メンタル疾患になってしまう。

 坂下さんが、「他人に貢献すると幸せになる」と言いましたが、これは脳科学的にも正しいです。人に親切にすると、脳内で幸せホルモンが分泌されるから。そして人から感謝されると、さらに強力な幸せを感じます。相手へのギブが、相手も自分も幸せにするというメカニズムです。そういうこともこの本では解説しています。

坂下 科学的に説明していただくととすごく腑に落ちますね。

樺沢 だから『神ふせん』とセットで『幸せの授業』も読んでいただくといいですね!

坂下 すごい相乗効果が出ると思います!

――お二人ともありがとうございました!