『いますぐ妻を社長にしなさい』(サンマーク出版)などの著書のあるビジネス書作家・坂下仁氏の新刊『やりたいことが絶対見つかる神ふせん』(ダイヤモンド社)が話題を集めている。精神科医で、『学びを結果に変えるアウトプット大全』(サンクチュアリ出版)などのベストセラーを持つ樺沢紫苑氏も、『神ふせん』を読んだ感想をXでポスト。今回はそんな縁で、対談が実現。それぞれのアウトプット術に対するこだわりや、思考を言語化することによる効果、幸せになるためのメカニズムなど、話は多岐に渡った。前後編に分けてお届けする。(取材・文/平行男)

ふせんは何枚も書いていい「絵馬」

「ふせん」は絵馬。書くことで自己洞察が深まり、やりたいことが現実化する坂下仁(さかした・じん)
お金のソムリエ協会会長
メガバンク行員として25年以上、個人の資産形成と数千件の法人融資などにかかわり、全国の支店長を指導してきた。副業で始めたセミナーは100組超のキャンセル待ちが続き、3年間で1000組超が受講する人気セミナーとなる。その後、2018年にお金のソムリエ協会を設立。本業以上の副収入を得て、セミリタイアする会員が続出するなど、メソッドを学んだ人数は6000人を超える。お金のソムリエ協会で最初に学ぶ「夢実現メソッド」は、ふせんを使った思考整理術。その起源は銀行員時代。個人情報の法整備が進み、情報を持ち歩けなくなったため、書いては簡単に捨てられるふせんを駆使して、思考を整理する方法を編み出す。やがて、ビジネスパーソン向けに『1冊の「ふせんノート」で人生は、はかどる』(フォレスト出版)を出版。「週刊ダイヤモンド」「The21」「日経WOMAN」ほか、多数のメディアで紹介される。人生の設計図を作る「夢実現メソッド」用にオリジナルのふせんを開発し、これまで使用したふせんは10万枚以上。クローゼットには常に10万枚備蓄するほど。本作は、「やりたいことが見つかる」「人生の目標が見つかる」「副業が見つかる」「収入が増える」「人生をやり直す」人が続出する「夢実現メソッド」の書籍化。主な著書に『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい』(以上、ダイヤモンド社)などがある。

樺沢紫苑(以下、樺沢) 坂下さんの『神ふせん』で面白いと思ったのは、「ふせんには絵馬や短冊と同じ効果がある」という部分ですね。よく「目標を紙に書いて貼れば現実化する」などとスピリチュアルの本には書いてありますが、あれは科学的にも正しいことなんです。

 頭の中で漠然と思っているだけの感情や願望、夢を言葉にすることで、脳幹経由で運動神経を使うことになり、脳が活性化されます。つまり言葉にすることで意識がそこに向いて、達成のための行動を続けるようになるのです。頭の中で思うことと、言語化して確認することでは、現実化の確率は大きく変わるんです。

 ふせんは1枚ずつが絵馬や短冊に匹敵して、自分の願望を叶えるために機能してくれるというのが、すごくいいなと思いました。

坂下仁(以下、坂下) そうなんですよ。しかも絵馬や短冊は1枚しか書かないし、書き直しはできないという暗黙の了解がありますが、ふせんは何枚でも書けます。そして書けば書くほど願望や目標に近づくことになります。そこがすごくいいツールだと思います。

樺沢 絵馬を書くなど、言語化する作業、アウトプットする作業は自己洞察の一環であり、自分の夢や願望に向き合う機会でもあります。言語化することで自己反省し、振り返り、改善点を見つけることができます

「年頭に立てた目標がなぜ実現しないか」を調べたハーバード大学の研究があるのですが、その結論は「忘れるから」自分が覚えてもいない目標が実現するはずはないのです。逆に言えば、目標を書いて、それをいつも見える状態にしておけばいい。それが日々の行動に影響を与え、目標が現実化しやすくなります

坂下 書くだけでは不十分ということですね。書いた紙がいつでも目に入るような状態にしないといけません。

樺沢 そうです。書いただけでも、しばらくは効力があるかもしれないけれど、忘れてしまうわけですからね。たびたび見返す必要があります。そういう意味では、ふせんやノートをうまく使うといいですね。